定置網のクジラ捕獲で波紋=ネットで拡散、苦情殺到―「なぜ太地だけ」・和歌山

和歌山県太地町の定置網に迷い込んだ1頭のミンククジラの捕獲が、波紋を呼んでいる。同様の例は各地で頻発し、やむを得ない場合の捕獲も認められているが、捕鯨で知られる同町での出来事に反対派が反発。呼び掛けに応じた抗議が殺到している。

「水産庁に解放の要請と放置の抗議をしてください」「電話お願いします!」。

昨年12月24日に太地町沿岸の定置網に入り込んだクジラについて、インターネット交流サイト(SNS)にはこうしたメッセージがあふれた。同庁や県の担当部署の連絡先が拡散され、電話やメールが殺到。県によると、多い日で40件ほどの電話により業務に支障が出ており、脅迫めいたものもあるという。

迷い込んだのは全長6.3メートルのミンククジラ。網の奥部分に入り逃がせなくなり、今月11日に捕獲された。県などによると、潮流や風の影響で追い出しが困難だったという。

捕鯨業者以外によるミンクを含むヒゲクジラなどの捕獲は省令で禁じられている。

ただ定置網で混獲されたクジラは、可能な限りの逃がす努力が望ましいが、漁業に影響が出る場合は捕獲してもよいとの定めがある。水産庁の担当者は「クジラ混獲は年間100件以上あり、特別なことではない」と話す。

同県の仁坂吉伸知事は13日の記者会見で「太地町の漁師を批判するのは間違い。ネットを見た人は、世の中の実態を理解してほしい」と訴えた。水産庁の担当者も「違法に捕獲されたなどと誤った情報が流れている」と苦言を呈する。

クジラやイルカの「追い込み漁」を続ける同町には、外国映画がイルカ漁を批判的に取り上げるなど反対派の矛先が向けられる。今回の批判に町民からは、「なぜ太地だけが言われないといけないのか」と困惑の声が上がる。

今回の反対運動や海外報道の情報源となった環境保護NGO「ライフ・インベスティゲーション・エージェンシー」(長野県)の矢吹蓮代表(47)は、混獲当初から捕獲までの様子をドローンで撮影し、ネットで発信してきた。

「イルカ漁を見ていて、たまたま混獲に気付いた。クジラにとって危険な定置網漁全体を問題視しており、太地だけを標的にするつもりは全くない」と説明している。 




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