【コロナ時代の「逆流性食道炎」対処法】横隔膜を鍛え食道裂孔ヘルニア予防 ピロリ菌除菌は発症リスクも

夜中に起こる胸やけや、咳など逆流性食道炎の症状は悩ましい。それに拍車をかけるのが、年明けから続くコロナ感染拡大による運動不足や肥満、「寝正月」による暴飲暴食などだ。加えて、「ピロリ菌感染」との関連で、逆流性食道炎を起こしやすい場合があるという。どういうことか。

「国内では40代以降のピロリ菌の感染率が高いのですが、除菌療法が保険適用になっているため、近年、除菌する方が増えました。結果として、胃酸の分泌が正常になり、逆流性食道炎が増えたことは悩ましいかぎりです」

こう話すのは、『逆流性食道炎は自分で防ぐ』(池田書店刊)を監修した東邦大学医療センター大森病院消化器センター外科の島田英昭教授。

「ピロリ菌に感染した胃は、萎縮性胃炎になって粘膜が荒れ、胃酸の分泌が減ります。暴飲暴食を行って腹圧が高くても、胃酸が少ない分、逆流性食道炎は起こりにくい。除菌後に胃酸が正常に戻ると、逆流性食道炎の症状を引き起こしやすいのです」

ピロリ菌は、胃がんリスクを約5倍押し上げると報告されている。

また、ピロリ菌感染による胃の粘膜の炎症(萎縮性胃炎)があると、さらに胃がんのリスクは上がる。ピロリ菌の除菌療法は日本で2000年に始まり、除菌を受ける人の増加と共に将来的に胃がん患者が激減すると推測されている。

胃がんを克服するためにピロリ菌の除菌は重要だ。一方、胃酸の分泌が正常になると同時に、加齢などで胃の入り口が緩むと逆流性食道炎を発症するリスクが増えることも。

「逆流性食道炎は、良性の病気なので、症状が軽度であれば放置しても、生命の危機につながりにくい。治療の基本は薬と食生活の見直しです。とはいえ、夜間の胸やけで眠れない、食事がよくできずに体重が減ってきたなど、生活に著しい障害があれば、外科的な治療も考慮されます」

胃と食道のつなぎ目、横隔膜を貫く食道裂孔から胃の一部が胸部側へ飛び出す食道裂孔ヘルニアは、外科的治療(手術)の対象となることがある。症状がひどいときには、食道裂孔ヘルニアによる食道炎は薬による治療だけでは再発しやすいからだ。

「逆流性食道炎の治療法はいろいろあります。また、薬の服用量も、食生活の見直しや予防で、人によっては、減らすことも可能です」

前回までに予防法は紹介したが、逆流性食道炎の人は、横隔膜を鍛える(別項参照)ことで、食道裂孔ヘルニア予防につながるという。食生活に注意し横隔膜を鍛え、胃酸と上手につき合おう。 (安達純子)

■島田英昭(しまだ・ひであき) 

東邦大学医療センター大森病院消化器センター外科教授。1984年千葉大学医学部卒。マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学外科研究員を経て、千葉大学講師、千葉県がんセンター主任医長などを歴任。2009年東邦大学外科学講座教授就任を経て臨床腫瘍学講座教授を兼任し現職。

●横隔膜を鍛える「腹式呼吸」● 

息を吐くと肺が小さくなって横隔膜が上がる。息を吸うと肺が広がり、横隔膜が下がる。この仕組みを利用し、次のように「椅子に座って腹式呼吸」を鍛えよう

 (1)椅子に腰をかけて、背筋を伸ばし、太腿(ふともも)のつけ根に両手を置く

 (2)胸を反らせながら3秒ぐらいかけて息を吸う

 (3)背中を丸めて前屈みになりながら、下腹を凹ませ、5~8秒かけて息を吐ききる。

 (4)(1)~(3)を5~10回繰り返すのが1セット

(5)1日2セットを行う

※島田教授監修『逆流性食道炎は自分で防ぐ』(池田書店刊)から




https://www.zakzak.co.jp/lif/news/210118/hea2101180004-n1.html