リモート葬儀の実態と値段 僧侶たちの危機感とジレンマ

新しい生活様式がうたわれるようになって、はや数カ月。その中でも、新たなスタイルを求められているのが「葬儀」だ。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、法要だけでなく、葬儀も「リモート」というスタイルで行われ始めている。

リモート葬儀は、主に葬儀社が積極的に提示している。

葬儀社が提示するリモート葬儀は、オンラインでの事前相談に始まり、通常のお通夜と同様に開式、僧侶による読経、弔辞弔電、お焼香、閉式という流れで進行していく。参列者は香典や供物をキャッシュレスで事前決済し、読経の様子をライブ配信で見ながら参列するのだ。

読経する僧侶も、葬儀場に来て読経する場合と、リモートで読経する場合の2パターンがあり、後者の場合は、会場に出向いていないのでお車代はなしになるという。

リモート葬儀の場合でも、お布施も一般的な相場の3万~10万円と変わらず、葬儀の費用自体も、基本的には変わらない。が、オンライン対応に対し、無料の場合もあれば、規模の大小や家族葬などの形式上の違いにより、別途数万円かかる場合もあるという。

僧侶が読経している会場に入れるのは親族だけで、会葬者は別室で葬儀の中継を見て、お焼香をして解散という流れの場合もあり、やはりその場合だと見送った実感が乏しくなってしまうという事実も否定できない。

その側面もあってか、お寺自体ではまだまだリモート葬儀を積極的に取り入れる段階にはきていない印象だ。

新しい葬儀様式に対応することを、チャンスと捉えている僧侶もいるが、多くの懸念を抱えている僧侶もいる。実際、〈葬儀の簡略化によって、正式な意義を持たなくなり、これまで大切にしてきた社会的なつながりが断ち切られてしまうのではないか?〉とか、〈コロナがもし収束した時に、元の形に戻せなくなるのではないか?〉という声が聞こえてきた。

さらに「リモート葬儀が通常化すれば、ご先祖様や故人を弔う心が希薄になると感じている。大手の葬儀社主導になれば、葬儀社に寺院が使われる時代になってしまう」という懸念の声も上がっている。

■前向きな姿勢を示す僧侶も

筆者はリモート葬儀に対して前向きな姿勢を示している僧侶の大慈山佛心寺の新田住職に話を聞いてみた。

「リモート法要終了後のアンケートで、『施設に入居していて外出できない』とか、『退院したばかりでまだ体調が不安』『家を空けられない事情があった』という方々から、こういう形で参加できてありがたいという声もありました。

参加したくてもできない、さまざまな事情がある旨を改めて知りました。日本では古くから節目を大切にする文化があります。特に、お葬式は『死を受け止める大切な節目』です。リモート葬儀では、距離の制約を超えて、空間同士がつながることで、家族や知縁者らの交流やつながりを得ることもできます」

逆に、リモートという制限があるからこそ、きちんと見送りをしたい、という気持ちが表出しやすくなり、手紙を司会の人に読んでもらったり、事務的なことだけで終わらない、より心に残る葬儀にすることも可能だ。

葬儀の本質は、様式ではなく「弔いの心」。今こそ、その進化と心を、私たちは問われている。

(取材・文=仏像オタクニスト・SALLiA)




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