オンライン法要や代行も コロナ禍で迎えるお墓参りの仕方

新型コロナウイルスの感染拡大で、お盆の帰省に慎重な動きが出ている。政府は一律制限するものではないとしているが、“緊急事態宣言”中の沖縄県などは帰りづらい。お盆のお墓参りにも変化が出ている。

■長距離移動を避ける「合同法要」がブーム

政府は帰省はダメだと言ってみたり、いややっぱり帰れと言ってみたり腰が定まらないが、各県知事からはお盆の帰省について、慎重にとの発言が相次いでいる。

これまで通り、寺院の合同法要や親戚縁者が集まった供養を行うのは難しい状況かもしれない。さすがにこのコロナ禍では、両親や親戚も帰れないことについては理解してくれているが、なんとなく夢見が悪い感じもする。

そんな中、遠方への移動ができない家族のために「合同供養祭」を行う動きがある。札幌市の葬祭場で合同供養祭を行った「家族葬のファミーユ」(東京都港区)の広報担当者がこう言う。

「コロナの影響で帰省控えや県外への移動の自粛が広まっています。とはいえ、こういった不安な時だからこそ、亡くなったご先祖に手を合わせたいという人もいます。そこで札幌市内のホールを無償提供し、帰省できない近隣の方々にお越しいただきました。参加費は無料。消毒液の設置や式場の換気などの感染症対策をした上で、僧侶に読経や法話などを行ってもらいました」

こうした動きは全国的に広まっており、「サン・ライフ」(神奈川県平塚市)も合同供養祭(参加費は3000円)を予定している。日頃、寺社との付き合いがなくても自由に参加できるという。

これらは主に“移動”を少なくする方策だが、築地本願寺は7月から「オンライン法要」を始めた。

お寺の法要の様子を自宅へインターネット中継するというもの。自宅にいる家族が、僧侶の読経や法話を画面越しに聞く。平日のみ、会員限定のサービスで、冥加金3万円以上の支払いも銀行振り込みと“3密回避”が徹底されている。

先祖に手を合わせたいという人は、「YouTube読経」で冥福を祈る方法もある。

京都市下京区にある一念寺の谷治暁雲住職が「法事に集まれない人のために」と4月にYouTubeを開設。「一念寺」で検索すると、サンプル動画が見られる。

横浜市戸塚区の妙法寺も毎年8月16日に行われているお盆の法要をYouTube配信。例年であれば800人を超える檀家が集まるが、高齢者も多く、少しでも密を避けるためだという。

■お墓参りの代行サービスを活用

法事や法要はこれでいいとして、お墓の掃除はどうするべきか。

そういう人には、お墓の掃除代行サービスがある。

個人営業の町の便利屋さんに頼むことが多いが、親が介護施設で暮らしているのであれば、職員に付き添いしてもらって掃除を頼むこともできる。また、大規模霊園に隣接して営業しているような石材店の多くでは、基本的にお墓参りの代行サービスもやっていたりするので電話で問い合わせしたい。

さらに、大手の掃除代行会社にもお墓掃除のサービスがある。

例えば、「やさしいお墓参りサービス」なら47都道府県どのエリアも可能で、スタンダードプランの料金は1万5000円~。また、障害者就労支援事業としての顔もある。

田舎では急勾配の山の上にお墓が立っていることもあり、高齢の親にとってはなかなかの重労働。自分が帰れない代わり、代行サービスを頼んでやるといった親孝行の仕方もある。

ふるさと納税の返礼品でお墓の掃除代行

変わり種としては、「ふるさと納税」の返礼品がある。福島市も最近、ふるさと納税の返礼に墓参り代行サービスを加えたばかり。

「コロナで帰省を自粛している福島市出身者の利用を想定。4万4000円以上の寄付で墓の掃除、献花、焼香の代行を行います」(担当者)

ふるさと納税で墓参りの返礼を導入している自治体は、専門サイト「さとふる」だけでも、北海道三笠市、青森県三沢市、山形県上山市、同河北町、同庄内町、宮城県色麻町、同加美町、福島県須賀川市、茨城県土浦市、つくばみらい市、新潟県妙高市、長野県高山村、静岡県富士宮市、愛知県江南市、同西尾市、三重県伊賀市、和歌山県日高川町、同九度山町、京都府京田辺市、大阪府枚方市、同豊能町、兵庫県加西市、岡山県岡山市、山口県柳井市、徳島県牟岐町、同藍住町、高知県四万十市、福岡県大野城市、長崎県松浦市、佐賀県神埼市、鹿児島県出水市、同喜界町がある。

喜界町の寄付額は1万円以上。離島までの交通費を考えたら、コスト的にはかなりお得だ。

■帰省しなくても仏さまは怒らない?

3密を避けるために帰省の自粛はやむを得ないが、故人の四十九日後に初めて迎える「新盆」を控えているなどの家族は、やはり無理を押してでも田舎に帰るべきか。

浄土真宗本願寺派僧侶で作家の向谷匡史氏がこうアドバイスする。

「浄土真宗の教えでは、位牌は不要で、仏壇の中にも仏さまはいないと考えます。法事・法要を行うのは、亡くなった人が極楽へ行けるように祈って応援するのではなく、あくまで自分がどのように仏の道に導かれるかを考える場です。というのも、阿弥陀如来を信じる者は、どんな人でも極楽往生が約束されている。

手を合わせるのは死者への供養ではなく、つまりは感謝。したがって、一周忌、三回忌、七回忌などの年忌法要もコロナ騒動が収まった後でゆっくりと行うのがいいかと思います。今年はお盆に田舎に帰らなかったとしても亡くなった仏さんが『なんで来ないんだ』とは怒らないと思いますよ。旅行に行けないお子さんは退屈するでしょうが……」

ただし、ちょっと残念なのは、ふるさとのお盆行事が人知れず中止になっていること。火の付いたワラの舟を川に流す青森県黒石市の「火流し」、沖縄の旧盆祭り「エイサーまつり」も今年は開かれないことが決まった。

原由子の代表曲「花咲く旅路」の歌詞のような初秋の光景が見られないのは、なんとなく切なくなる。




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