「おくりびと」全国3000人の半数は副業 では1回の収入は?

【○○が好きすぎて副業になっちゃいました】

総務省の予測では日本の65歳以上の人口比率は2025年に30%、60年には40%に達する見込みだ。今回取材したのは高丸慶さん(37歳)だ。

高丸さんは看護師でもあり経営者でもある。訪問看護事業を本業として行うかたわら、納棺師を養成する「おくりびとアカデミー」にも取締役として参画運営している。

なおアカデミーの卒業生たちには、納棺師を副業としている人もいる。

「納棺師は、故人の遺体を洗い清めて、お化粧や衣装などの身支度をして、棺に納めるまでを担います。火葬まで遺体の腐敗を防ぎ、適切な状態で保つ技術や、故人とのお別れの時間を適切なものにするための所作などが必要です」(高丸さん)

納棺師の存在は映画「おくりびと」でも世間に広まった。学校の概要を聞いた。

「東京都港区三田で、毎年4〜9月の6カ月間、木・金・土曜日が授業となっています。募集人数は10人程度、学費は120万円です。納棺師としての心構えや所作を教える概論、感染症の予防、死者へのメーク、宗派による違いなどさまざまなことを学びます」

訪問介護で知ったさまざまなニーズ

「おくりびとアカデミー」を始めたきっかけは?

「2000年に始まった介護保険の基本理念は『人の尊厳を支える』なのですが、実際には個人の尊厳性はそれぞれです。ですから、介護保険に関わる事業者は医療と違ってニーズに応えるために保険外のサービスを提供してもよいことになっています。

特に在宅ケアをする訪問看護は地域の高齢者との関係が深く、生活の様子がわかり、相談を受ける機会が多い。保険外のニーズとして、食事、旅行、美容、運動、移動、出会いなどの要望はさらに増えると予測しています。そして『おくりびとアカデミー』とも関係する『葬儀』の領域ですが、お別れの方法は多様化しながらも死者を弔う気持ちや儀式の形式は残り、少人数で納棺師だけがセレモニーを行うケースも増えると思います。

葬儀では小さくても数十万円かかりますが、納棺師が行うケースですと、より安価な金額ですむこともあります。看護師が在宅や施設で『看取り』をして、同じ看護師が看取り後に納棺師としてセレモニーを行うなんてことも増えるでしょう」

高丸さんの収入とアカデミー卒業後の収入について聞いた。

「アカデミーに入学してくる人たちは半分が葬儀会社の方で、残りは医療従事者、介護従事者、高校を卒業してそのまま入ってくるケースが多いです。

現在、日本全国に納棺師は約3000人いて、本業と副業にしている人たちは半々くらいではないでしょうか。1回のセレモニーの収入は都内の相場が1・5万〜3万円程度です。月に数回の依頼をこなして、副業として月に10万円以上の収入を得ている人はそれなりにいると思います。本業で評判になった納棺師には月に100万円以上の収入になっている人もいます」

緩和医療、看取り、エンディングノート、生前葬など自分の死に方に関することが自覚的に扱われるケースが最近は増えてきた。

日本では03年に年間の死者数が100万人を超え、19年に137万人、そして予測では40年にピークを迎えて160万人になる。人が目を向けにくい市場であるからこそ、仕事のチャンスも眠っている。




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