「アキダイ」 ニュース発の“日本一有名なスーパー” どんな内容でも取材OKの非常にありがたい存在

もし、日本に来たことがない外国人が、母国で日本のニュースを見続けたとしたら、間違いなく「日本最大のスーパーのチェーンは『アキダイ』だ」と思うのではないでしょうか。そのくらい日本のテレビには、よく「アキダイ」が登場してきます。

では巨大スーパーマーケットなのか?というと、決してそうではありません。東京の練馬や杉並に数店舗ある、普通の小さなスーパーです。だからたまにネットでは「テレビに出てくるスーパーはなぜかいつも『アキダイ』問題」が囁かれたりするのです。

といって、そこに癒着も陰謀も特にありません。単に「どんな内容でも取材をすぐにOKしてくれる、非常にありがたいスーパー」だということです。

でも実は僕、「アキダイ」には一度も行ったことがありません。僕が記者・ディレクターだった頃には、まだ「アキダイ」はテレビに登場していなかったと思います。僕らはいつもスーパー探しで非常に苦労したものです。よく商店街さんにお世話になりました。大森銀座商店街さんとか、いまだに足を向けて寝られません。

なぜか大手スーパーは簡単に取材に応じてくれないのです。

家電量販店とか、ドラッグストアとか、ディスカウントショップとかは比較的取材に応じてくれるのですが、大手スーパーの広報は、「お客さまのプライバシーの問題が」とか「撮影現場の安全性の確保が」とかで、許可してくれません。

OKするにしても、社内決裁などで最低2~3日は必要です。企画書提出がマストで、取材内容も非常に厳しく精査されます。ニュースだと今日中に取材したいという場合が多いので、大手スーパーにお願いしても間に合いません。

そうなると、電話一本ですぐ取材をさせてくれる「アキダイ」さんはテレビマンにとっては非常にありがたい存在です。なんなら「テレビ文化功労賞」みたいなものをあげてもいいのではないか、という気さえしてきます。

で、「テレビに出てくるスーパーはなぜかいつも『アキダイ』問題」は、そんな感じで心温まるストーリーで良いのですが、これが「なぜかいつも同じコメンテーター問題」「なぜか同じ医者」「同じ弁護士」「同じ元検事」「同じ元刑事」「同じ元県知事」あたりになるとそれほど心温まりません。

「めんどくさがらずにちゃんと出演者探そうよ!」ということになります。実は「忙しいからついついラクしたくなるテレビマン問題」こそが、一番深刻なのかもしれません。

■鎮目博道(しずめ・ひろみち) 

テレビプロデューサー。上智大学文学部新聞学科非常勤講師。1992年テレビ朝日入社。社会部記者や、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAの立ち上げに参画。「AbemaPrime」、「Wの悲喜劇」などを企画・プロデュース。2019年8月に独立。




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