葬儀、法事 少人数で簡素に コロナ影響で「密」を避ける

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、葬儀や法事が変わってきている。「密」を避けるため、招く人を最小限にしたり、簡素化したり。寺や葬儀会社は、故人をしのぶ大切な場という目的を大事にしつつ、ネット機能の活用など、時代に即した在り方を模索している。

「次は十三回忌。それまで元気でいられるか」

愛知県西尾市の女性(75)は五月中旬に夫の七回忌を予定していた。正月明けから寺に相談。親族約十五人を招くつもりで、精進料理や供物などの手はずを整えたが、感染拡大で中止せざるを得なかった。「久しぶりに遠方の子どもや孫と一緒に手を合わせたかった」と涙ぐんだ。

移動や会食の自粛で、葬儀も小規模化し、料理の振る舞いを省くケースも増えた。

名古屋市を中心に展開する葬儀会社「ティア」(同市北区)によると、同社が扱った四月の通夜・葬儀への参列者の平均は十五人で、通常の四割程度だった。同社の役員は「家族葬など葬儀の小規模化は認識していたが、コロナ禍で十年先の想定が突然来た感じ」と話す。

西田葬儀社(同市昭和区)は四月からビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」による葬儀サービスを開始。密の回避で、葬儀会場には少数の親族のみが参列。遠方の親族はパソコンなどの画面越しに加わってもらう。

葬儀の様子はタブレット端末などで中継。双方向性を生かし、遠方参列者の希望に応じ、スタッフが端末を持ってひつぎ近くなどに移動。画面越しに故人の顔を見ながら声をかけたり、手を合わせたりすることも。今月十五日までに十一件実施し、海外からの遠隔参列もあったという。

築地本願寺(東京都中央区)はZoomで読経の様子を中継する「リモート読経」に取り組む。

「それではご一同様、合掌いたしましょう」。寺院の一室で、僧侶が本尊に向かい読経を始めた。終わるとパソコン画面の向こうにいる法要の施主らに向き合うようにして、自身の経験談を交えた法話を行った。

感染が拡大した三月下旬から法要などを中止してきた。だが五月中旬、「できることからやろう」とリモート読経を開始。約一カ月で計十二件の依頼があったという。

施主は六十代が中心。七十代以上でも、子世代に手伝ってもらい参列する例も。法要行事部長の秦明人さんは「コロナ禍が収束しても、法要の一つの選択肢として続けていく予定」と話している。

◆「火葬のみ」「一日葬」増加

終活サービスや葬儀関連サイトを運営する鎌倉新書(東京)が四月下旬、全国の提携葬儀社九十二社にアンケートを実施。

感染拡大で、相談や依頼が増えている葬儀の形態(複数回答)は、「火葬のみ」が約七割、通夜のない「一日葬」が約六割、参列者が十人以下の小規模な家族葬が約四割だった。「遠方の親戚が来ない」「地元の会葬も感染を恐れ辞退」などの理由で、小規模で簡素なニーズが増えている。

会食は避け、弁当を持ち帰ってもらうなど「通夜振る舞いの提供形式の変更」は三分の二に達した。状況が落ち着いた後、お別れ会や後日葬を勧めているとの回答は三割近くあった。

オンライン葬儀を「実施している」と答えたのは6・5%。三月に実施した同様の調査では、今後について「VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの技術を駆使した参列の場が増えると思う」と予想する葬儀社もあった。




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