福島原発の避難指示、未除染でも解除へ 国の責務に例外

東京電力福島第一原発事故の避難指示区域について、政府は除染をしていない地域でも避難指示を解除できるようにする方向で最終調整に入った。

いまは除染が進んだ地域だけが解除の対象だが、将来人が住まない見通しがあるなど、一定の条件を満たせば、除染なしでも解除して立ち入りを自由にする。

除染して再び人が住める地域に戻す政策に、初めて例外を設けることになる。除染を「国の責務」とした放射性物質汚染対処特措法と矛盾することにもなりかねない。

政府関係者によると、経済産業、環境、復興の3省庁は、除染抜きでも解除できるようにすることで一致。

近く原子力規制委員会に未除染で解除した場合の安全性について諮る。その結果を受け、今夏にも原子力災害対策本部(本部長・安倍晋三首相)を開いて従来の解除要件を見直す方向で調整している。

原発事故の避難指示は、空間の放射線量が年間20ミリシーベルトを超えた地域などが対象とされた。

指示を解除する要件は、(1)線量が年20ミリ以下に低下する(2)水道などのインフラ整備や除染が十分進む(3)地元と十分な協議をする、と現在の政府方針で決まっている。

今回の見直しでも、この3要件に基づく解除方式は維持する。そのうえで除染しなくても解除できる新たな方式を設ける。

具体的には、放射性物質の自然減衰などで線量が20ミリ以下になった地域は、住民や作業員らが将来も住まない▽未除染でも早期の解除を地元が求めている――といった要件を満たせば、避難指示を解除できるよう検討している。このほか、公園整備や無人工場の誘致など地元に土地の活用計画があることを要件に加える案もある。

除染後に解除する従来方式と除染なしの新方式のどちらを選ぶかは、地元自治体の判断に委ねる。

原発から40キロ離れた福島県飯舘村では、線量がほぼ20ミリ以下となり、除染抜きでも避難指示を全面解除してほしいと国に要望していた。与党も新たな解除の仕組みをつくるよう政府に求めていた。一方、ほかの地元自治体には国による除染を求める意見が根強く、どこまで新たな方式による解除が進むかは分からない。

避難指示は、線量による区域分けが確定した2013年8月時点で、福島県の11市町村におよび、琵琶湖の2倍弱の計11万4900ヘクタール、住民約8万4千人が対象だった。

現在はその約7割の地域で解除され、いまも避難指示が続くのは、事故当初年50ミリを超えた「帰還困難区域」の7市町村、計2万2千人だけになっている。(編集委員・大月規義)




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