シロクマ先生、難病もなんの 八女在住の森内さん九州各地で講演

国内に患者が約300人とされる珍しい遺伝性の国指定難病「家族性アミロイドポリニューロパチー」を患う元小学校教諭、森内剛さん(55)が、治療を機に移住した九州で闘病を語る講演活動を始めた。

母と妹を同じ病気で失い、余命10年と覚悟しながら妻からの生体肝移植で命をつないだ森内さんは、術後の壮絶なリハビリを踏まえ「諦めなければ夢や希望はかなう」と語り掛ける。

既に終わった大分県別府市などを含め24日までに九州6カ所を回る。

この病気は、異常なタンパク質が臓器や神経に沈着して機能障害を起こす。

森内さんは肝臓移植によって病気の進行をほぼ止められたが、術後は拒絶反応で嘔吐(おうと)が止まらず、食事も喉を通らなかった。

測定不能なほどの低血圧や手足のしびれ、排便障害などの後遺症にも苦しむ日々を送る。

「何度も死のうと思ったけど、手術前にかつての教え子と交わした『必ず戻る』との約束があったから頑張れた。何事も諦めないで」。

北海道で教諭をしていたころ、体重は100キロを超え、ひげ面の風貌と相まって「シロクマ先生」と呼ばれていた。闘病を経て体重は60キロまで落ちたが講演会で当時を振り返る温和な語り口は愛称そのままだ。

北海道東部の小学校にいた2013年ごろ、授業中の立ちくらみがひどくなり、掲示物を壁に張ろうと手を上げると意識を失うようにもなった。

翌年、妹が48歳で亡くなる直前に遺伝性の病気と判明した。

原因不明のまま他界した母も同じ病気と分かり「死ぬような病気を認めるのが怖くて治療から逃げていた」。病気が進行した16年、ようやく専門に治療できる熊本大病院で手術を受けた。

家族で話し合い肝臓は妻利佳さん(51)が提供してくれた。

子どもたちとの「約束」を守るため苦しいリハビリに耐え、17年10月には職場復帰した。

ただ、病院へは通い続けなければならず、利便性と伝統工芸への関心から福岡県八女市への移住を決意、半年後の最後の授業で自身の体験を児童に伝えた。

「私も夢を諦めずに頑張る」と涙ぐむ子どもたち。「自分の話は人に希望を与えられる」と気付き、講演活動を思い立った。

後遺症は続き、調子の悪い日は歩くこともままならない。

それでも、地元中学校で吹奏楽のボランティア指導を始めるなど、新天地での生活に充実感も感じ始めている。「病気になって感謝する心、笑顔の力などたくさんのことを知ることができた。今が一番幸せなのかも」。

講演は九州外にも広げることが目標。シロクマ先生の授業は始まったばかりだ。

■講演の日程

今後の講演会の日程は次の通り。

▽20日午後2時=長崎県婦人会館(長崎市桜馬場)

▽22日午後1時半=ホテルグランデはがくれ(佐賀市天神2丁目)

▽24日午後2時=宝ビル(福岡市博多区博多駅東)。

入場無料。




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