商業捕鯨再開1ヵ月 肉質が向上し高値で取引 採算性なお不透明

日本の国際捕鯨委員会(IWC)脱退に伴う31年ぶりの商業捕鯨再開から1日で1カ月になる。

沿岸操業する石巻市鮎川などの6事業者は7月1~7日、北海道釧路沖でミンククジラ12頭を捕獲、全国46の市場に出荷した。宮城県内では期待含みの高値が付けられたものの、操業期間や流通量は限定的で採算性を見いだすには時間を要しそうだ。

<32頭を割り当て>

沿岸捕鯨事業者に対し、水産庁は年内にミンク32頭の捕獲枠を割り当てた。釧路沖では小型捕鯨船5隻が共同操業。IWC規制対象外のツチクジラ漁を経て、9月に釧路沖でミンク漁を再開させる。

鯨肉人気が高い石巻市の石巻魚市場には7月4、8、10日の3日間で計730キロが入荷。

初日は赤肉1キロ当たり4500~7000円の高値が付き、その後も高めの相場が続いた。市場担当者は「ミンクの生肉は人気がある。いいスタートが切れた」と歓迎する。

肉質は格段に向上した。商業捕鯨は良質なクジラを狙って効率的に操業でき、船上解体で鮮度を保つ。

定置網などで混獲されたミンクの生肉を扱ってきた「まるか中央鮮魚」(石巻市)は今回、良質な肉は従来より1キロ当たり1000円程度高値で販売し、売れ行きは好調だ。

佐々木正彦社長は「調査捕鯨や混獲、30~40年前に流通していた肉とは質が違う。消費者の関心も高い。貴重で良質な鯨肉をおいしく食べる文化が継承されてほしい」と期待する。

沖合操業では共同船舶(東京)の捕鯨母船「日新丸」が三陸沖などの排他的経済水域(EEZ)でニタリクジラ67頭を捕獲した。

7月30、31日に仙台港で冷凍肉約350トンと生肉300キロ超が水揚げされ、一部は8月1日、仙台市中央卸売市場で競りに掛けられる。

日本捕鯨協会(東京)の担当者は「EEZ内での操業など手探りの部分はあったが、順調に操業している」と説明する。

<求められる知恵>

好調な滑り出しの半面、ビジネスとしての展望は開けていない。石巻魚市場の担当者は「(現状では)操業期間が短く、入荷量も少ない。動向はまだ見極められない」と指摘する。

沿岸捕鯨に参加する鮎川捕鯨(石巻市)は7月20日、事務所隣に直売店を開設した。

同社の伊藤信之社長は「いずれ価格は落ち着くだろう。与えられた捕獲枠の中で採算を上げるには知恵を絞らなければいけない」と将来を見据える。




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