舘山寺温泉客もてなし100年 浜松の旅館「山水館欣龍」

浜松市西区の舘山寺温泉で最古の旅館「山水館欣龍」がこのほど、開業100周年を迎えた。

大正、昭和、平成、令和と時代が移る中、地場の豊富な食材と浜名湖の景観を売りに多くの観光客をもてなしてきた。5代目社長の新村有司さん(43)は「地域の観光をけん引する存在であり続けたい」と決意を新たにしている。

舘山寺の門前通りの一角に立つ山水館欣龍は、初代伊平氏が開業した日本料理店「三河屋」が起源。

2代目亀太郎氏が1919(大正8)年6月に旅館を始め、有司さんの祖父に当たる3代目秋賀氏の時に、現在の屋号になった。

戦前は隠れ家的な観光地だった舘山寺。

同旅館はその中で優良旅館の証しである「陸海軍指定旅館」「県庁指定旅館」といった看板を掲げ、観光客を迎えた。37年には歌人与謝野晶子が1週間ほど滞在し、旅館から眺めた絶景を詠んだ直筆の短歌を残した。

「さわやかに 水はるかなり 遠江 浜名の海の夏の夕ぐれ」

文字はかなり薄くなっているが、今も旅館の宝としてフロントに飾っている。

舘山寺温泉は昨年、開湯60周年を迎えた。

東海道新幹線や東名高速道の開通、はままつフラワーパークの開園などの追い風があった一方で、バブル崩壊などの苦境も味わった。

その間、秋賀氏や4代目の謙氏(70)は舘山寺温泉観光協会長として地域をリードした。

200年目に向けて新たな一歩を踏み出した5代目の有司さんは、「観光客の価値観が多様化し、戦略的な経営が重要になっている。時代の変化に対応しながら舘山寺の明かりをともし続けたい」と語る。




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