盲導犬の同伴断る店、ろうあ者の宿泊拒む施設…障害者差別解消法施行3年

不当な扱い後絶たず 当事者団体は見直し求める

障害のある人への差別を禁じる障害者差別解消法が施行から3年が過ぎた。法への理解は徐々に広がりつつあるものの、障害者が不当な扱いを受けるケースはなくならない。当事者団体は法の見直しを働きかけるなど、誰もが暮らしやすい社会の実現を訴えている。

義務なのに…店員から「今日だけですよ」

「初めから受け入れを拒否しないで、話し合う機会がほしい」。札幌市豊平区の江場(えば)祐花さん(29)はそう語る。1歳の時、視野が狭まる網膜色素変性症と診断。明暗は少し分かるがほとんど見えない状態だ。2年前から盲導犬のモア(ラブラドールレトリバー・雄4歳)と暮らしている。

訪れる飲食店の多くは盲導犬同伴で利用できるようになったが、札幌市内の菓子店では当初、入店を断られた。身体障害者補助犬法は不特定多数が利用する店で盲導犬などの同伴受け入れを義務付けている。

江場さんは、法で同伴が認められていることを説明して何度も頼み込むと、店員から「今日だけですよ」と言われた。店舗入口そばの席を条件に入店を許された。ほかに空席はあったが、その席が空くまで1時間近くも待たされたという。

2月、長女の花蓮ちゃんを出産。子供向けイベントに行こうと盲導犬の同伴を問い合わせると、来場を断られた。江場さんは「犬がいると、ほかの親が不安になる気持ちも分かる。無理にお願いしたくはないが、子供にはいろいろなものを見せてあげたい」と語る。

「予約がいっぱいで受けられない」

札幌市で障害者向け賃貸住宅などを運営する小谷晴子さんは、四肢まひと呼吸不全があり、電動車いすが欠かせない。5月の大型連休中の出勤に、車いすのまま乗車できるユニバーサルデザイン(UD)タクシーを予約しようとした。タクシー会社に事前に連絡したが「予約がいっぱいで受けられない」と断られた。

ところが出勤日の朝、別の会社のタクシーで勤務先に向かう途中、予約を断られた会社のUDタクシーが空車で走っているのを何台も見て驚いた。

来年の東京五輪・パラリンピックを控え「さまざまな障害のある人が道内に観光でやってくる。大勢の人が利用する店舗や交通機関には法律の中身を知ってほしい」と訴える。

障害者差別解消法は2016年4月に施行。受験や入学の拒否や介助者不在を理由に入店を断ることなど「不当な差別的取り扱い」を禁じた。講演などで障害の特性に応じて座席を決める「合理的配慮の提供」も求めている

ただ、施行後も障害のある人の受け入れを拒む事例は絶えない。

18年、静岡県熱海市の宿泊施設が聴覚障害を理由に全日本ろうあ連盟青年部約100人の宿泊依頼を断ったほか、有名アーティストのコンサートで知的障害のある人が療育手帳を身分証として提示したところ、入場を拒まれた。

「紛争解決の仕組みが明確でないなど不備」

障害当事者の団体で構成する障害者インターナショナル(DPI)日本会議(東京)は差別の体験談などを省庁や国会議員らに示し法の見直しを求める。佐藤聡事務局長は「法は差別の定義や紛争解決の仕組みが明確でないなど不備な点は多い」と指摘する。

DPI日本会議は差別の実態を当事者、一般市民にも広く共有してもらおうと、年内に札幌など5カ所でフォーラムを開く。札幌は10月に予定。DPI北海道ブロック会議の我妻武議長は「法律や条例の存在を知らない障害者は多い。声を上げ周知を図りたい」と話す。




https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190706-00010000-doshin-soci