その痛みは「王様」級 尿路結石の防ぎ方

突然襲ってきた激痛で悶絶。脂汗を浮かべて顔面蒼白に――そんな人を目の当りにしたら、瀕死の重病と思い、どうしていいかわからなくなるかもしれません。

救急搬送されるケースも多いこの症状の原因は「尿路結石」。食生活の欧米化や高齢化などにより、多くの方が苦しい思いを味わっています。再発も多いこの病気、予防が大切です。

◇仕事中に突然の激痛で救急搬送

45歳の男性は仕事中にわき腹の激しい痛みに襲われました。あまりに痛いためうなり声をあげて「いたーい!」と叫んでしまうほどです。

同僚が驚いて救急車を要請しました。「うー」「いたーい」とうなりながら運ばれた病院では、診察と超音波検査から「尿路結石が疑われますね。痛み止めの座薬を使いましょう」と、早速対応が始まります。

◇尿の成分が固まって“石”に

尿路結石はわき腹の痛み、下腹部の痛み、吐き気、嘔吐(おうと)などが主な症状です。血尿や残尿感が出ることがあります。前述の男性のように、とても強い痛みが出ることもあります。

この痛みは、腎臓から尿道までの尿の通路(尿路)に「石」が詰まるために起こります。

石は尿の成分が結晶化したもので、シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなどカルシウムを主成分とするものが8割を占めています。また、痛風の原因となる尿酸によるものも1割程度あります。

◇診察の手順は?

おなかが突然激しく痛む病気は他にもあります。救急の現場ではどうやって診断しているでしょうか。

〇診察

まず、診察でおなかの脇、痛い方の背中の方をたたくことによって痛みが強くなるかをみます。典型的にこれらの部位をたたくことによって痛みがとても強くなります。石の場所によっては、おなかの下の方を押すと痛みが出ることがあります。また体温が高くなっていないか、血圧や脈拍も確認。体温が上がっていれば尿路感染が疑われますし、痛みが強いと血圧や脈拍が上がります。

〇尿検査

尿検査では、石によって尿路に出血が起きていないかを調べます。また、尿路に細菌が感染してしまっていないかを、尿の中の白血球の数から予測するといったことなどをします。

〇超音波検査

超音波検査はベッドサイドですぐに行うことができますし、痛みも伴わず、CT検査と違ってX線による被ばくもないため、非常によく診断に用いられています。尿路結石では、詰まった石の上流の部分が腫れてきます。超音波検査では、腎臓の一部が腫れる「水腎症」が起きていないかも確認します。

尿路結石と似たような症状が出る病気に「腹部大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)破裂」があります。高血圧などによってできたおなかの血管の膨らみが突然破れてしまった状態で、すぐに手術をしなければならない深刻な病気です。超音波では腹部大動脈の状態もチェックします。

〇CT検査

CTには石のサイズや位置がわかるなどの利点があります。加えて、上述の腹部大動脈も含めておなかの中の臓器の状況がかなり詳細にわかります。ただ、単純なレントゲン撮影に比べて多くのX線に被ばくしてしまうのが欠点です。石は体質によってできてしまうものです。結石で症状が出るたびにCTを撮っていると、累積被ばく量が増えてしまうため好ましくありません。

私は、初めての尿路結石と思われるときにはCTを撮影しますが、過去に結石を経験したという患者さんには超音波と尿検査で終了するようにしています。多くの場合、石は自然に出されるもので、CTで診断しても超音波で診断しても結果が変わらない、という研究があるからです。

◇治療と経過観察は泌尿器科で

尿路結石の痛みはかなり強く、冒頭のエピソードのように「うなり声がでてしまう」ほど。「King of pain(痛みの王様)」とすら言われます。治療としては非ステロイド性鎮痛薬(NSAIDs)という種類の痛み止めを1日3回食後に飲んでもらうことが多いです。吐き気が強い時には、内服薬ではなく座薬の痛み止めを使うこともあります。痛みは0にはなりませんが、痛み止めを適切に使うとかなり症状は良くなります。

前述のように、多くの場合石は自然に排出されるので、痛み止めで落ち着いたら、基本的には泌尿器科の外来に通院することが望ましいです。

ただし、以下のような場合には救急外来を再度受診してください。

・発熱や寒くて震えるとき:

尿路感染を合併しているかもしれません。そうした場合、増殖した細菌を体外に出すために狭くなっている部分にチューブを通したり、外科的手法で石を取り除いたりすることが必要になる場合があります。

・尿が出ないとき:

腎臓の機能が落ちている可能性があります。感染と同様に、狭くなっているところにチューブを入れる必要があります。

・腹痛・吐き気が強くなるとき:

痛みの対応をし、結石以外の病気がないか再度調べる必要性を検討します。

◇再発しやすい尿路結石、食生活改善で予防を

排尿の際に石が出てきたら、できるだけ割りばしなどで拾い、診療に持参しましょう。なぜなら、石を分析することでどのような成分が原因となっているのかがわかり、予防法が効果的に検討できるのです。

日本泌尿器科学会などの尿路結石症診療ガイドラインによると、5年で半数近く、10年では半数以上が再発するとされています。再発や発症を予防するためには以下のような点に注意してください。

まずは食生活です。

「健康的な和食」というのがもっとも総論として近いかと考えます。塩分や動物性たんぱく質の取りすぎが結石のリスクになるとの研究があります。

レバー、白子、エビ、イワシ、カツオなどに含まれるプリン体は、尿酸による結石のもとになります、こうした食べ物の摂取を0にはできないと思いますが、なるべく少なくすることが大事です。

◇結石の主成分カルシウムは減らせばいい?

前述のように、結石の8割はカルシウムが主成分です。ということは、カルシウムは極力取らないほうがいいのでしょうか? 

実はそうではないのです。前述のガイドラインではカルシウムは石の原因となるものの、極端に食べる量を減らしてしまうともう1つの原因物質であるシュウ酸の排出が減り、結果として石ができやすくなるとしています。ですから、極端な制限をしません。ただし、過剰摂取は控えてください。

シュウ酸は、普段われわれが食べたり飲んだりしているものに多く含まれています。

代表的なものは、紅茶、サツマイモ、バナナ、ピーナッツ、アーモンド、チョコレート、ホウレンソウなどです。おひたしにするとシュウ酸が減るため、調理方法も大事です。カルシウムと一緒に取ることで吸収が減ることが知られています。

肥満の方が尿路結石を発症しやすいことも分かっています。太り気味であれば、再発防止のためにも食事全般に配慮し、ダイエットを心がけましょう。

飲み物では、お酒に注意が必要です。ビールにはプリン体が多く含まれますので、なるべく避けた方がいいです。他には紹興酒にもプリン体が含まれます。毎日飲むことはさらにリスクを高めるので、避けた方がいいでしょう。

脱水になると石による発作がおきやすくなります。再発予防には1日2L以上の水分摂取によって尿量を増やすことが必要とされています。特に就寝前の水分補給は重要です。




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