無許可納骨堂、15年500柱 横浜市が宗教法人を行政指導

約15年間、無許可で納骨スペースを販売し約500柱を納骨したとして、横浜市は仏教系宗教法人(同市戸塚区)を墓地埋葬法に基づき行政指導した。

法人は無許可の事実を個別に利用者に周知せず、違法状態を防ぐため、無断で約37キロ離れた許可済みの別の納骨施設に遺骨を移していた。

法人は運営していた寺院の本堂を解体しており、専門家は「尊厳が必要なお墓の管理がビジネス化していないだろうか」と懸念している。

問題の納骨堂(同市神奈川区)は6階建てビルの4、5階部分にある。

JRの駅にも近い国道15号沿いの東京湾岸部にあり、墓石488基と納骨壇70基は当初から許可を得ていた。

しかし、市によると昨年10月、納骨堂内のロッカー型の位牌(いはい)壇について「位牌だけでなく、許可が必要な遺骨約500柱も預かっていた」と法人から連絡があり、市は翌月、許可を取るよう行政指導。法人は申請し、4月19日に許可を得た。

墓地埋葬法では、墓地や納骨堂の経営者は都道府県知事、政令市長などの許可が必要と定めている。

法人関係者によると、法人は2000年ごろから、位牌壇を納骨可能として1基約60万円で販売したという。

位牌壇は狭く、骨つぼは敷地内の倉庫で段ボール箱に入れて保管。小型の骨つぼに一部分骨して位牌壇に安置するケースもあった。

現在の法人代表が08年ごろ、運営を引き継ぐと、無許可状態を問題視する声が上がり、15年3月、500柱を法人が運営する別の納骨施設(神奈川県三浦市)に利用者に伝えないまま移した。

こうした事実関係について、法人は昨年11月以降に「横浜市と協議している」などと記した紙を施設内に張っただけで、利用者に個別に説明はしていない。

もともと法人は問題の納骨堂から約9キロ離れた同市戸塚区内の住宅地で檀家(だんか)を抱えた寺院を運営していたが、11年ごろ本堂が解体され、跡地には民家が建てられている。

夫の遺骨を無断で別の納骨施設に移された60代の女性は取材に「張り紙で初めて無許可だったと知った。掲示は小さく、気づかない人も多い。遺骨が移されたことについては何も説明がない。きちんと遺骨を扱ってほしい」と憤った。

法人宗務部長の話 

08年ごろに現在の代表が法人運営を引き継いだ時にはすでに納骨可能として売られていた。納骨スペースを昨年増設した際、無許可ではいけないと市に報告。遺骨を移したことは別の納骨施設から納骨堂に全て戻した後に利用者に連絡する。

◇増え続ける宗教法人の墓地や納骨堂

厚生労働省によると、全国の火葬・埋葬者数は約20年前に比べて44万人増え、2017年は約138万人に上った。

自治体が運営する公営墓地だけでは足りず、宗教法人などが運営する墓地や納骨堂は増え続けている。

日本葬送文化学会副会長の長江曜子・聖徳大教授(葬送文化研究)によると、約40年前から、核家族化などで葬送を簡略化し、墓の形態も先祖代々の墓ではない個人墓、ロッカー型や自動搬送式の納骨施設も増加している。

横浜市によると、無許可の納骨で行政指導した事例は記録の残る13年以降だけで他に4件。長江教授は「多死社会の中で死者への尊厳が薄れているのではないか。葬送はビジネスとなり、遺骨をただの物として扱ってしまう状況が発生しかねない」と話している。




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