先生も任意に 保護者だけでなく教職員もPTAを強制されている

PTAにおける強制は、これまで主に保護者の問題として取り上げてきましたが、じつは教職員にも起きています。

多くの学校では、先生や事務等の職員さんたちも、着任すると自動的にPTAの会員にされ、加入意思を確認されないまま、校務分掌でPTAの仕事を割り振られたり、会費を天引きされたりしているのです(*1)。

当然のことながら、PTAは保護者だけでなく教職員に対しても、加入や活動を強制できるような法的根拠をもちません。現在のような状況は、早く是正される必要があります。

教職員へのPTA強制も、保護者へのそれとはまた違った理不尽さがあります。

たとえば、払った会費の使われ方。PTA会費はしばしば、学校の備品購入に使われています。

保護者の場合は「子どもがお世話になっている学校への寄付」ということでまだ理解できますが(任意でなく強制徴収だと寄付とはいえず大問題なのですが)、教職員の場合、任意だとしてもまだ違和感があります。

会社員でたとえると、「職場で来客用のパイプ椅子を買うから寄付してくれ」と勤務先(または組合)から求められるようなもの。「そんなものは会社の金で買ってくれ」という話でしょう。

またPTA会費は、よく保護者向けの講習会費用にも使われますが(例/フラワーアレンジメントの講師代)、これらはほぼ授業時間中に行われ、先生は参加できません(夜や土日など勤務時間外に開催されても、当然参加できないと思いますが)。

さらに中学や高校では、PTA会費が部活動の費用にあてられることが非常に多いですが、これは先生たちにとって、最もひっかかる用途のようです。

部活動のために普段からさんざんタダ働きしているのに、お金まで払わされるのです。「とても納得できない」という怒りの声を、ときどき聞きます。

保護者ほど広範囲ではありませんが、PTA活動の強制も起きています。

先生の場合、校長から職務として命じられるため、断ることがとても難しそうです(保護者間で起きる活動強制も学校の権威に依るため、断るのは難しいのですが)。

PTAは、保護者だけでなく教職員にも、きちんと加入や活動の意思を確認する必要があります。入会申込書を整備する際には、ぜひ教職員への配布も念頭においてもらえたらと思います。

ご参考まで、下に貼ったのは、ある小学校のPTAがこの春に配付した入会申込書(*2)です。このように、手紙の宛名を「保護者・教職員の皆さまへ」とし、また申込記入欄も保護者・教職員どちらでも書き込めるようにすれば、一種類の用紙で対応できます。

先生や職員の方たちも、PTAの強制をおかしいと思ったら、是非声をあげてもらえたらと思います。「加入や活動について、意思を確認してほしい、強制をやめてほしい」と校長やPTA会長に伝えてください。

保護者たちは意外と、先生たちにまで強制が及んでいることや、実は困っている先生がいることに、気付いていません。(*3)

*なぜ教職員からお金をとるのか?

そもそもPTAはなぜ、教職員からも会費を集めるのか? ずっと不思議に思ってきました。

PTA=「P(保護者)」と「T(先生)」が協力するための組織とはいえ、先生は常に仕事として、学校や子どもたちのために働いています。そのうえさらにお金までとるのは、なぜなのか。

もしかすると学校側は、PTAを保護者の好きなようにさせないため、つまり「我々教職員も会員なんだから、勝手なことをするな」と言えるようにするために、無理やり会費を払っているのでは? などと想像したのですが(そう思えるほど今の多くのPTAは学校に対して従順・迎合的です)、そうではないのかもしれません。

今から40年近く前(1981年頃)に書かれた文章(『PTA歳時記』永畑道子著より)に、こんな一節がありました。

「実は、先生から会費を集めていないPTAが、まだまだあります。先生に出してもらうのが気の毒だ、なかなかいいだせない――こういう声をききました。学校後援会の名残です」

いまでは先生から会費を集めないPTAのほうが珍しいですから、その後40 年ほどの間に、先生から会費をもらうのがスタンダードに変わったようです。そしてそれはどうやら、保護者側からの求めだったのでしょう。

戦後日本でつくられたPTAは、戦前の「学校後援会」から脱却することをめざしてきました。学校後援会は、学校にお金や労働力を供出する組織で、戦争協力の土壌として機能した面があったからです。

そのため昭和の時代の識者や一部の保護者たちは、できるだけPTAから学校後援会的な要素を払拭しようと努力してきたのですが、このとき勢い余って、先生たちにも学校を後援させることで、戦前の後援会との差別化をはかってしまったのかもしれません(だとしたら方向違いの気がするのですが)。

しかしよく指摘されるように、いまのPTAは、戦前の学校後援会的な要素を色濃く引き継いでいます。残念ながら昭和の時代の皆さんの努力は報われず、いまもお金や労働力の供出が熱心に行われていることは、皆さんもご存知の通り。しかもそれは、強制的に行われています。

そのため、いまの保護者のなかにも「自分たちがこれだけ学校にお金や労働力を差し出しているんだから、先生たちも出さないのはズルい」と考える人はよくいます。教職員からも会費をとるようになった背景には、そんな保護者感情もあったのではないかと推測されます。

PTAが早く強制をやめ、それぞれの保護者や教職員の意思にもとづいて加入・活動する組織に変わることを、願ってやみません。

•*1 教職員からの会費の徴収方法は、給料から天引きのほか、手集金や振込等、PTAによって異なります
•*2 PTAが特定されないよう、少々改編してあります
•*3 教職員も保護者の場合と同様、PTAを抜けても不利益を受けないこと等が保証されないと、本当の任意
に はなりづらい(非加入を選べない)でしょう

大塚玲子
ライター、編集者、PTAジャーナリスト

主なテーマは「PTAや学校」と「いろんな形の家族」。取材執筆、講演、出演等。著書 『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』『PTAがやっぱりコワイ人のための本』(全て太郎次郎社エディタス)、共著『子どもの人権をまもるために』(晶文社)、『ブラック校則』(東洋館出版社)。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。連絡先:ohj@ニフティドットコム




https://news.yahoo.co.jp/byline/otsukareiko/20190416-00122417/