5年10年はザラ… それでも売れる?? メーカーの怠慢!?? 「長寿車」が増える事情と生命線

自動車業界のモデルライフは概ね5年程度。新型が続々と登場する時代ではなくなったにせよ、あまりにも長生きしているクルマも多い。

発売から5年、もしやすると10年も生き残っているのに販売台数もそこそこ堅調に推移しているクルマたちを集めてみました。

なぜ長生き車たちは生き残れるのか、その理由は意外なところにありました。

車両自体の高性能化が長生き車誕生の理由

最近は発売されて6年以上を経過する車種が増えた。フルモデルチェンジの周期が伸びた背景には複数の理由がある。

まずは開発費用の問題だ。今は電動化を含めた環境対応、安全装備、自動運転技術、通信機能など、さまざまな開発が活発に行われる。そうなれば車両の開発費用にしわ寄せが来る。しかも今の日本車は、80%以上が海外で売られ、国内比率は20%以下だ。国内向けの商品開発が消極的になり、これもフルモデルチェンジの周期を伸ばす原因になる。

クルマの耐久性が高まったことも挙げられる。1980年代までの日本車は、耐久性が低く10年間も使うとかなり疲労した。ドアの下側が錆びて、穴が空くこともあった。乗用車の平均使用年数(平均寿命)は、1980年頃は約8年だった。しかし今は平均使用年数が約13年に伸びた。

10年前に生産されたクルマも普通に使われ、中古車市場でも相応の価格が付く。とても良いことだが、フルモデルチェンジの周期が伸びても、乗り替えに不都合が生じにくい。

このほかカーデザインが成長期を過ぎて、安定期に入ったことも理由のひとつだ。1980年頃までは、10年前のクルマは古く感じた。4年ごとにフルモデルチェンジを行い、その度に内外装のデザインを刷新していたからだ。

その進化の速度が、最近は下がってきた。例えばフォレスター、CX-5、N-BOXの標準ボディなどは、フルモデルチェンジを行っても外観があまり変わらない。頻繁にフルモデルチェンジを行う必要性が薄れた。

ただし技術的には、古くなるとデメリットも生じる。今なら急速に進歩する緊急自動ブレーキを作動できる安全装備と、運転支援機能だ。車種によっては、プラットフォームを刷新しないと、先進の安全装備や運転支援機能を装着できない。

CT200hは使い勝手のよさで現存

そこで基本設計の古いクルマが生き残っている理由と課題を考えたい。まずはレクサスCT200hを取り上げる。登場したのは2011年1月だから、すでに8年を経過した。レクサスCT200hは直列4気筒1.8Lエンジンをベースにしたハイブリッドのみを搭載する5ドアハッチバックだ。

ハイブリッドシステムはプリウスと共通になる。プラットフォームは生産を終えたレクサスHS250hやSAIに近く、2006年に発売された初代オーリスから発展した。運転感覚としては素性の良いプラットフォームだが、今ではさすがに古い。安全装備は、レクサスセーフティシステムプラスを追加装着した。

歩行者を検知できる緊急自動ブレーキ、車線逸脱警報と車線に戻る操作を支援する操舵制御、車間距離を自動調節しながら追従走行できるクルーズコントロールなどが備わる。一定の水準に達するが、夜間の歩行者や自転車は検知できず、クルーズコントロールも全車速追従型ではない。

レクサスは高級ブランドだが、今は世界的に流行している乗用車系のプラットフォームを使うSUVに力を入れる。ほかのカテゴリーはフルモデルチェンジの周期を長期化させ、先代レクサスLSも約11年間にわたり生産を続けた。

コンパクトな車種の開発も、SUVのUXが優先され、CT200hは基本設計が古くなった。HS250hなどと違ってCT200hが生き残る理由は、1か月に200~300台は売れるからだ。

販売店によると「レクサスCTは、LSやGSを使うお客様のセカンドカーとして人気が高い。前期型のCTを使うお客様が、後期型に乗り替えることもある」という。需要が見込めるから生産するのだが、安全装備や乗り心地を考えると、フルモデルチェンジを行って古さを払拭して欲しい。

CT200hはセカンドカーの需要が多いことからも分かるように、国内市場に適した使いやすいレクサスだ。UXに比べると重心も低く、新しいプラットフォームを使って開発すれば、走行安定性や乗り心地をUX以上に高められる。次のレクサスの新型車はCTにして欲しい。

デリカD:5は実はマイナーチェンジ

先ごろ新型デリカD:5が発売された。LEDヘッドランプを装着した個性的なフロントマスクを備えるため、フルモデルチェンジに見える。しかし実際は大幅なマイナーチェンジだ。現行デリカD:5は、2007年1月の発売だから、すでに12年以上を経過した。

デリカD:5が存続する理由は、マイナーチェンジを受ける前の段階でも、堅調に売れていたからだ。2018年(暦年)にデリカD:5は1万3502台が登録され(1か月平均で1125台)、三菱車の中では、設計の新しいエクリプスクロスと同様に販売が堅調だ。

今の三菱の店舗数は、500店舗を下まわるから(トヨタ4系列は合計4900店舗/日産は2100店舗だから大幅に少ない)、1か月に1000台以上売れれば、販売会社にとって大切な主力商品になる。しかもデリカD:5では、先ごろマイナーチェンジを行ったクリーンディーゼルターボを搭載する4WDが主力だ。

売れ筋の価格帯は、400~430万円に達するから1台当たりの粗利も多い。そしてデリカD:5のユーザーには、何台もデリカD:5を乗り継ぐファンが多い。今の三菱にとって欠かせない基幹車種だ。デリカD:5には人気を高めた理由も多い。

SUVに匹敵する悪路走破力、国産ミニバンでは唯一のクリーンディーゼルターボ、全長が4800mm以下のミニバンでは最も広くて快適な3列目シート、高めの着座位置が生み出す見晴らしの良さなどは、いずれもデリカD:5ならではだ。

先ごろのマイナーチェンジでは、ボディ剛性を高めて走行安定性と乗り心地もを向上させ、エンジンは滑らかで静かになり、エクリプスクロスと同等の緊急自動ブレーキを作動できる安全装備も装着した。フルモデルチェンジに近い進化を遂げて設計の古さを払拭させたので、選ぶ価値をさらに高めている。

ヴィッツは長年愛されるコンパクトカーだが、いよいよ車名が消滅する。ヤリスになるまでのあとわずかの期間は存命だろう

ヴィッツの絶え間ない改良が新型に続く

ヴィッツはトヨタを代表するコンパクトカーで、現行型は2010年12月に登場した。従って8年以上を経過する。次期型が新開発のプラットフォームを採用する絡みもあり、現行型は長年にわたって生産を続けている。
次期型は2019年中に発売するとされ、車名は海外で使われる「ヤリス」に変わるようだ。

アクセラの次期型も、海外と同じく「MAZDA3」を名乗る。メーカーの販売戦略で、ヴィッツやアクセラのユーザーには、寂しい思いをさせることになってしまう。

現行ヴィッツが8年以上売られているのは、次期型を大幅に刷新するためだが、その間には改良が積極的に行われた。フロントマスクは2014年と2017年に大幅な変更を受け、ハイブリッド搭載車や緊急自動ブレーキも加えた。特別仕様車も定期的に投入している。

そのために2018年の登録台数は、フィットやカローラシリーズと同等で、国内の販売ランキングでは上位グループに入る。基本設計が古くても、定期的に改善すれば、売れ行きを維持できる。逆に何もしなければ販売台数が下がり、車名も忘れられて存在感が薄れてしまう。

販売を続けるなら、ヴィッツやデリカD:5のように商品に愛情を注ぎ続けることが大切だ。その気持ちは必ずユーザーに届く。




https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190331-00010000-bestcar-bus_all