福島原発事故8年 ゴール見えない廃炉の姿

東京電力福島第1原発で進む廃炉をめぐっては、事故から8年がたつ現在も「廃炉の定義」が定まっていない。

通常、廃炉は更地に戻すことを指し、地元自治体も完全撤去を望んでいる。ただ、作業は困難を極めるとみられ、東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明・最高責任者は「(福島第1は)普通の原発と違う」と広範な議論を求めている。ゴールが見えないまま廃炉は進んでいく。

東電は廃炉工程表で、当初から最終工程を「原子炉施設の解体等」と明記し、事故から30~40年後の作業完了を目指している。

しかし、想定する廃炉の最後の姿について、小野氏は「今の段階では考えの振れ幅が大きすぎて決められない。10人に言わせると、10人が違う答えを言う状況」とし、「未定」を強調した。

廃炉で最大の難関とされるのが、溶融核燃料(デブリ)の取り出しで、1~3号機にはデブリが原子炉内外に計880トンあると推測される。さらに2号機で2月に行われたデブリの接触調査からは、新たな機器開発の必要性が出てくるなど、東電が目指す全量取り出しの道のりは険しい。

海外の事例でも、廃炉の姿や工程は異なる。

1957年に火災事故を起こし、放射能汚染をもたらした英国のウィンズケール(現セラフィールド)原子力施設は、作業がしやすいよう放射能が半減するまで100年以上待ってから施設を解体する予定だ。

86年に炉心溶融で大量のデブリが発生した旧ソ連のチェルノブイリ原発では、デブリの取り出しを断念し、「石棺」と呼ばれるコンクリートの構造物で覆い、長期保存することになった。

福島第1の場合、デブリに加えて、1~3号機に残る使用済み燃料の取り出しや、汚染水を浄化処理した後の放射性物質トリチウムを含む水が敷地内で増え続けていることなど、後回しにできない課題が山積している。だが、使用済み燃料取り出しは相次ぐトラブルで、処理水は処分方法の検討が長期化しており、作業が停滞気味だ。

福島県など関係自治体は速やかに国の責任で更地にすることを望んでおり、県の担当者は「汚染されたものを全て残らないようにすることが廃炉の完了だ」と話す。

しかし、原子力規制委員会の更田豊志(ふけた・とよし)委員長は現状について「廃炉の完了という視点では、勝負どころはまだまだ先」と指摘する。最後の姿どころか、道筋も霧の中だ。




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