“働き損”避けて「働きながら年金受給」のベストな時期は?

今国会での法案提出は見送られたが、国家公務員の定年が65歳に引き上げられる。給与は60歳前の7割を見込んでいるというから老後は安泰だろう。では、企業によって定年がまちまちのサラリーマンは、いつまで働き、いつから年金受給を始めるのがベストなのか?

すでに年金をもらっている人、これからもらう人もよく考えてみたい。

年金は終身のため、長生きすればするほど受給額が増える。

ただし、もらい始める時期も重要で、65歳の受給開始を繰り上げれば、1カ月早めるごとに0.5%ずつ減らされ、繰り下げれば逆に0.7%ずつ増えていく。

損益分岐点は、男性なら76歳までに亡くなる人は「60歳開始」が最もお得になり、82歳以上まで長生きする人は「70歳開始」が受け取れる金額が最大値になる。

一方、77歳から81歳の間に亡くなる人は、無難に「65歳支給」を選んだ方がいい。男性の平均寿命は81歳だ。

■年に120万円もらえたはずが半分以下に

もっとも、自分の寿命と女性の心理はよくわからない。安心のために出来る限り働いて、なるべく受給開始を遅らせた方がいいと考える人は多いだろう。その際に考えるべきは、働いたら年金が減らされる「働き損」という落とし穴だ。

年金支給が完全に65歳になってしまう昭和36年4月2日(女性は41年4月2日)以降の人は無視していいが、現在60歳の男性なら63歳から厚生年金の報酬比例部分がもらえる。それが働いてたくさん給料をもらうと、減額されてしまうのだ。

「60歳以上65歳未満の方で、厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受け取るときは、総報酬月額(給与)と基本月額(年金)の合計が28万円を超えると、一部または全部の年金が支給停止になります」(特定社会保険労務士・稲毛由佳氏)

段階的に計算式は違うが、仮に「月給30万円」で「報酬比例10万円」の人なら、支給停止額は年72万円になる。本来なら年に120万円もらえたはずの年金が半分以下になってしまう計算だ。

「とはいえ、月に数万円の減額が“惜しい”といって仕事をやめてしまっては、30万円の月給を失ってしまう。わずかな金額をケチって本来の利益を失う『一文吝みの百知らず』となります」(稲毛氏)

この年金の減額は65歳以上もある。

月給と年金の合計が46万円以下なら支給停止は0円だが、46万円を超えると、やはり年金が一部または全部が減らされてしまう。ただし、減額はごくわずかだ。例えば、年金が老齢厚生年金(基礎部分含まず)が月10万円で月給40万円で働く人は、減額が月2万円。2万円をケチって仕事をやめては、まさに一文吝しみの百知らずだ。計算上は月給56万円以上で年金支給は0円になるが、これだけもらえるなら迷わず年金受給開始を70歳にすればいい。




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