お墓の取得 早めに相談 首都圏 公営は空きなし、民間は高額

先祖代々の墓を墓じまいする人が増える一方で、亡くなった肉親の墓を新たに建てたいという人もいる。しかし、首都圏などでは公営墓地は空きがなく、民間墓地は費用が高額で、建てたくても建てられないという声も。「お墓の相談はまだまだ先でいい」と思いがちだが、元気なうちからどうしたいのか、家族で話し合っておきたい。 

「お墓をどうするかを話し合ったことがないまま父が亡くなり、どうしたらいいのか迷いました」。関東地方の会社員の男性(42)は言う。

東京都内で母親と暮らしていた父親は、二〇〇六年に病気で他界した。まだ六十歳をすぎたばかりでの急死だった。父親は三男で、故郷にある実家の墓に入る予定はなかったが、墓をどうしたいと考えているか、一度も話し合う機会がないまま亡くなってしまった。

男性自身は、それまで自分が入る墓が絶対にほしいというわけではなく、どこかに散骨してくれてもいいと思っていた。しかし、希望が分からない父の骨を散骨することは考えられなかった。「母の希望もあり、墓を建てようと決めた」と振り返る。

墓参りしやすいようにと都心で探したが、公営墓地にはすぐに墓を建てられる空きはない。かといって、民間は空きがあっても、最初に支払う土地の永代使用料だけで三百万円以上。一年ごとの管理料も公営の倍以上で、墓石や建てる費用も考えると、あまりに負担が重い。

家族や母親と話し合い、実家や自宅から通いやすい都立多磨霊園(東京都府中市、小金井市)を希望することにした。

しかし、応募者が多く、年一度の抽選に〇七年から落ち続けた。

多磨霊園にある一時預かりの納骨堂を利用しながら毎年、応募し続け、一六年にようやく当選した。土地の使用料は二百万円、年間の管理料は二千円ほど。石材販売会社で墓石を選んで建て、昨秋に父親の遺骨を納骨堂から移した。

「自分の墓にこだわりはなかったけれど、こうして父のお墓を建ててしっかりと弔え、母親も安心していた。時間がかかったが、無事にできてほっとした」と話した。

◆「墓石なし」増加17年調査

多磨霊園は東京ドーム二十七個分の広大な敷地に、六万四千を超える墓がある。

新規申し込みは、男性が希望した区画で、二〇〇七年は八十八区画に千四百三十四人で倍率は一六・三倍。それが、一六年には八十区画に百八十七人で、二・三倍だった。背景には、墓離れが進んだことなどがあるとみられる。

大阪市も高度成長期の人口増加を受けて一九七九年、大阪府南部の阪南市に大規模な公営墓地を造成したが、見込みよりも需要が少なく、未利用の区画が多く残る。市事業管理課の担当者は「市内近郊の墓地を希望する市民が多く、利用が伸び悩んでいる。墓じまいの件数も年々増えている」と話す。

葬儀関連サイトを運営する「鎌倉新書」(東京)が一七年に実施した調査では、同年に新たに親族の遺骨を納めた全国の約四百三十三人のうち、墓石のある墓を選んだのは半数ほど。六年前には九割だったが、納骨堂など他の選択肢に押された格好だ。

一方、墓石の墓を選んだ人たちは、理由として「家族で一緒に使える」「生きていた証しとして墓を残したい」などを挙げた。




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