“没収”はない休眠預金 それより注意は「睡眠貯金」

10年以上放置されている預金を民間の公益活動資金に充てる「休眠預金活用制度」が2019年1月スタートした。

預金が“没収”されると誤解している人もいるが、金融機関に申請すれば払い戻しできる。ただし、特に高齢者は預金の存在自体に気づきにくくなっているケースもある。これを機に口座の確認をしておこう。

◇毎年700億円生まれる「休眠預金」

休眠預金は10年以上にわたり取引がない預金。18年1月に施行された休眠預金等活用法で、NPOなど民間団体の社会活動資金に活用できることになった。

同法は09年1月以降に最後の取引があった預金を対象としており、19年1月から実際に休眠預金が発生していることになる。

ここでいう取引とは主に預金の出入金を指すが、さらに、金融機関それぞれで通帳記入や残高照会などを含めることもできる。対象は普通預金や定期預金、金銭信託など。財形貯蓄や外貨預金は含まれない。

休眠預金は、預金者が忘れていたり、家族らに存在を知らせないまま亡くなったりしてできる。従来は金融機関が独自に管理していたが、法的に位置づけて、国がまとめて管理し「社会実験」として有効活用することになった。

金融庁によると休眠預金は毎年約700億円発生しており、年間30億円程度を民間団体に助成する見通しだ。

◇「不要な口座」は解約を

ただし個人の財産権が侵害されないように、休眠預金を扱うルールも整備された。

まず、最後の取引から9年以上たち、休眠預金「候補」となると、金融機関に登録されている住所に通知が郵送される。これが無事に届けば、休眠預金とはならない。通知は電子メールで送られることもある。ただし、通知するのは残高1万円以上の預金に限られる。

また、休眠預金になっても、金融機関に通帳やキャッシュカード、本人確認書類などを持っていけば、利息付きで引き出すことができる。万一、通帳などを紛失していても、本人確認ができれば大丈夫だ。

つまり簡単に休眠預金にはならず、なったとしても自分のお金は引き出すことはできる。

だが、使わない口座を放置しておくことはない。また、転居しているのに住所変更の手続きをしていなければ通知は来ない。これを機に口座を確認し、不要なものは解約するのがいい。

特に高齢になると、口座管理が負担となり休眠預金を招きやすい。

ここ約20年で銀行や支店の統廃合が進み、どこの銀行の通帳なのかわからなくなったという人もいるだろう。

不要口座が多いと、将来の相続時の手続きがわずらわしくなりがちなこともあり、家族が手伝って口座を整理する「棚卸し」をしておいたほうがいいだろう。

◇満期後20年2カ月で権利消滅

休眠預金以上に注意したいのが、古い郵便貯金口座だ。郵政民営化前の07年9月末までに預けた定額貯金、定期貯金、積立貯金は満期後20年2カ月を過ぎても払い戻しの請求がなければ、権利自体が消滅し、払い戻しが受けられなくなる。

既に廃止された旧郵便貯金法の規定が適用されるためだ。

定額貯金などが満期となり、通常貯金になった後10年間出入金がないと「睡眠貯金」として案内が郵送され、さらに10年経過すると権利消滅の催告書が送付される。何もしないと、その後2カ月で権利が消滅しお金は国庫に納付されてしまう。

郵政民営化前の貯金を管理している郵便貯金・簡易生命保険管理機構によると、07年度以降に権利が消滅した郵便貯金は975億円。睡眠貯金の残高は18年3月で4515億円にのぼっている。

郵政民営化後に預けた郵便貯金であれば、他の金融機関の預金と扱いは変わらない。




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