中高年サラリーマン、税負担ずしり 控除縮小が響く

子育てを終えた中高年サラリーマンの世帯を中心に税負担が増えそうだ

2019年以降も税金や社会保険で制度や仕組みの変更が相次ぐ。

特に見逃せないのが所得税・住民税で控除の仕組みが一部変わることだ。家計への影響は年収や家族構成により異なるが、子育てを終えた中高年サラリーマンの世帯を中心に支払う金額が増えそうだ。社会保険料の負担がどうなるのかと合わせて調べた。

20年にかけて家計に影響を与えそうな変更は表Aの通り。これまで負担が増えていたのは主に健康保険などの社会保険だったが、今後は税金の負担がずしり響いてくる。消費税率の引き上げだけではない。

税金の計算上、所得から差し引いて税額を抑えられる「控除」の仕組みが相次いで見直されている。全体としては負担増につながるケースが増えそうだ。

■収入に初の上限

まず配偶者控除を対象に18年、世帯主の収入に初めて上限が設けられた。収入が1120万円(所得900万円)を超えると、所得税で38万円の控除額は段階的に縮小。1220万円(同1000万円)を超えるとゼロになる。

最近受け取った源泉徴収票などで税額が増えたのを知り、控除見直しの影響を実感した会社員もいるだろう。

20年には基礎控除が、現行の38万円から48万円へと10万円拡大される。その一方で給与収入から差し引ける給与所得控除が、10万円縮小される。これだけみると負担は差し引きゼロだ。

しかし、収入が多ければその限りではない。

給与所得控除の金額は給与収入の水準に応じて増える仕組みだが、収入が一定を超えると頭打ちになる。その上限額はここ数年、下がってきている(図B)。

現行、収入が1000万円を超えると上限の220万円が適用される。さらに20年からは収入が850万円を超えると195万円しか控除できなくなる。23歳未満の扶養親族がいる世帯などは負担が増えないよう別途調整するが、その他の世帯では影響を受けるケースが少なくない。

「特に50代の会社員は要注意。収入が多く子育てが一段落した人では負担が大きく増えるケースがある」と大和総研の是枝俊悟研究員は指摘する。

次に社会保険をめぐる見直しを確認しよう。

4月にマクロ経済スライドの実施、10月に年金生活者支援給付金の開始が予定されるが、これらは主に年金世代向け。現役世代にかかわる大きな制度変更は少ない。

会社員らが加入する厚生年金は保険料率が引き上げられ続けた後、17年9月から年18.3%(労使折半)の水準に固定されている。給与から天引きされる額は大きいものの当面、負担増は気にしなくていい。

制度見直しで目を引くのは介護保険の分野だ。会社員らが納める介護保険料は、健康保険組合などそれぞれの医療保険制度が徴収する。その金額は国が各組合などに割り当てている。

割当額は以前は加入者の人数に応じて決めていた。それが17年度以降、加入者の収入総額で決める「総報酬割」へと移行中。

19年度には総額の4分の3、20年度に全面的に移行する。この結果、収入が多い加入者が集まる組合では割当額が大きくなり、加入者から徴収する保険料は増える。

介護保険に比べて保険料の支払い負担がより重いのが健康保険。

制度上の大きな変更はないが、高齢化を背景に国全体の医療費は年々膨張。健保組合などを通じて現役世代が払う保険料の料率は「これからも上昇が続く」(社会保険労務士の森本幸人氏)見込みだ。

税金や社会保険の負担額を年収別に見るとどうなるか、ファイナンシャルプランナー(FP)の八ツ井慶子氏に試算してもらった。

来年20年時点の負担額を、配偶者控除が見直される前の17年と比べたのが表Cだ。専業主婦世帯で子どもはいないと想定した。健康保険料率は健保組合の過去10年平均の上がり幅(年0.18%)が続き、介護保険料率は厚生労働省のデータを基に16年度比1.14倍などとしている。

■ダブルパンチも

負担の増加額(手取りの減少額)は、年収500万円、700万円では1万円台にとどまった。これらの世帯は控除見直しの収入要件に該当しない。主に健康保険など社会保険料の増加を映した。年収1000万円だと給与所得控除の見直しが関係してくる。所得税・住民税を主体に増加額は6.7万円になった。

さらに、年収が高いと配偶者控除と給与所得控除がダブルで響いてくる。配偶者控除額は1150万円の世帯では減少し、1300万円ではゼロ。負担の増加額はそれぞれ15万円、20万円と大幅だ。FPの八ツ井氏は「これまで社会保険料を中心に増え続けてきた。そこに消費税上げと控除見直しによる税金の増加が加わる。家計の負担は重い」と話す。

世帯によっては負担の増加で「老後資金をためづらくなる」(是枝氏)。妻が専業主婦なら働きに出るのは有効だろう。「社会保険料が発生しても家計の総収入は増える。老後の年金も上積みできる」(森本氏)からだ。税制上有利な確定拠出年金による資産運用も一案だ。食費や被服費といった変動費の見直しなどのやり繰りも重要。家計に見合った対策が求められる。




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