チョコフレークにキスミント…ロングセラー食品終売の厳しい背景

「森永チョコフレーク」が生産終了――。2018年秋にインターネットを騒がせたこのニュース。懐かしの定番商品の終売とあって、多くのファンから惜しむ声が上がった。

だが、何もチョコフレークに限った話ではない。いま各社で、こうしたロングセラーの終売が相次いでいるのだ。

大きな背景には、食品各社がここ数年利益率を重視し、経営の合理化のための“集中と選択”を進めていることがある。

終売商品の多くが、売り上げがピークから落ち込み収益が苦しい状況にあった。ロングセラー商品に限らず、派生商品の数を抑えるなど、商品の絞り込みは各社の近年の傾向になっている。

その一方で、主力商品への集中が進む。

例えば、明治では、高単価や機能性といった主力のチョコレート製品を増産するため、270億円を投じて国内2工場の生産設備を増強する。

また、森永乳業は、約280億円を投資してヨーグルトの生産設備を増強した一方、合理化策として21年までに東京と近畿の工場での生産中止を決めた。

老朽化した工場への設備投資による効率化と、主力商品への集中のための増産が活発化し、17年の食品業界における設備投資は、15年比で約4000億円の増加となる1.6兆円に上り、近年でも高い水準となった。

●ますます脅威のPB 健康で付加価値演出

だが、主力商品への集中と絞り込みは、端的に言えば危機感の表れでもある。

その危機とは、小売りのプライベートブランド(PB)の台頭だ。食品流通において、小売り側が大きなパワーを持つ中、ナショナルブランドの生き残りがかつてないほど厳しくなっている。

消費者のデフレ心理は一向に変わらず、価格面などで優位に立つPBはさらなる広がりを見せる。18年には、キリンビールがイオンやローソンといった各社のビール類飲料のPBを一斉に手掛け始めたことが大きな話題となった。

大手でさえもPBと手を切ることは難しい。価格競争やブランド淘汰のリスクが高まっている中、同質的な商品を作っているだけでは、メーカーとしてはまず生き残れない。

そうした価格競争や淘汰の波から脱するために、各社が腐心するのが付加価値の高い製品の開発だ。

その一つが、健康領域の商品。高齢化が進む中、今後も拡大が見込まれる数少ない市場であることもあって、各社がさまざまな取り組みを行っている。

例えば、ハイカカオチョコレートや、ヨーグルトなど乳酸菌製品などはここ数年で勢いよく成長し、ビール類飲料においてもカロリーオフといった機能性商品が堅調だ。

だが、ハイカカオや機能性ヨーグルトは、足元で市場が一服しており、一時的な過熱感に終わる可能性もある。19年以降の市場動向は不透明だ。

価格競争に負けない高付加価値商品の重要性は、今に始まったことではない。だが、変化が急速に進む中、コモディティ商品の淘汰は今後加速度的に進むだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)




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