11歳の少女が甲状腺等価線量で100ミリシーベルト程度

11歳の少女が甲状腺等価線量で100ミリシーベルト程度-。東京電力福島第一原発事故の直後、国の研究機関・放射線医学総合研究所(放医研、千葉市)が内部で推計していた被ばく線量の結果は、21日付の本紙報道で明らかになった。これまで国が注意を払い続けてきたのが甲状腺の「等価線量」だった。いったい、何なのか。 

被ばくの影響を示す数値には「実効線量」と「等価線量」がある。全身への影響は実効線量、個々の臓器や組織は等価線量で表される。どちらも単位は「シーベルト」だ。

原発事故で放出される放射性物質のうち、放射性ヨウ素は体内に取り込まれると甲状腺に集まり、内部被ばくをもたらす。この時、放射線の種類を踏まえて算出される甲状腺の被ばく線量が「甲状腺等価線量」だ。一方、放射線が当たった臓器や組織の等価線量を計算した上、係数をかけて足した分が実効線量になる。

これまで甲状腺等価線量の「一〇〇ミリシーベルト」は重要な意味を持ってきた。

内閣府の資料では、チェルノブイリ原発事故の研究を例に挙げ「甲状腺がんの発症増加が認められているのは甲状腺等価線量で一〇〇ミリシーベルト以上」と記されるなど、がんのリスクが増えうる目安として使われてきた。事故前に原子力安全委員会(当時)がまとめた指針では、甲状腺の内部被ばくを防ぐ「安定ヨウ素剤」を服用する指標としても、この値が記されてきた。

国が事故後の二〇一一年三月下旬、原発から三十キロ以上離れた子どもたちを対象に行った甲状腺の内部被ばくの測定でも、「甲状腺等価線量で一〇〇ミリシーベルト」が基準値となり、国は「全員が基準を下回った」と発表していた。

そんな中で明らかになったのが、同年五月に放医研が内部で報告した「甲状腺等価線量で一〇〇ミリシーベルト程度」という十一歳の少女の推計結果だった。つまり、がんのリスクが増えうる目安に達する子どもはいなかったと国が発表してから約一カ月後、それに該当するような推計結果が算出され、公表されずに来た、ということだった。




http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201901/CK2019012302000293.html