全国初の山岳医事務所を開設 ブーム背景に急増する山岳遭難対策に対応

日本登山医学会の認定資格を持つ内科医の神田橋宏治さん(51)が、全国初の「山岳医事務所」を東京都文京区向丘1に開設した。登山ブームを背景に、山での遭難者数は年間3000人を超すが、一部の山にしか診療所がないなど、医療体制は十分に整っていない。神田橋さんは「山では診断ミス一つが命取りになる」と指摘。「山岳医事務所」では医師・看護師の同行や登山計画作成の助言などに対応する。

警察庁のまとめによると、2017年の山岳遭難は計2583件(前年比88件増)の計3111人(同182人増)。いずれも統計が残る1961年以降で最も多く、死者・行方不明者は計354人(同35人増)、負傷者は1208人(同75人増)に上った。

日本登山医学会は、国内山岳医として約80人を認定している。高山病や凍傷、高所生理学などの座学に加え、登山技術の習得が必修で、雪崩の救出訓練なども義務づけている。

神田橋さんは10年ほど前、体力作りのために登山を始めた。12年夏ごろ、谷川岳(1977メートル)を登山中に自身が深刻な脱水症状に陥り、その後も体調を崩した登山者にたびたび遭遇したことで、真剣に「山のリスク」を考えるようになったという。

「山では通常の医療知識だけでは通用しない」と、17年6月に国内山岳医の資格を取得。仲間の山岳医や看護師とともに、ボランティアで診療所のない山の巡回パトロールを始めた。こうした活動を通じて、登山者が医療面のサポートを気軽に受けられる組織の必要性を感じたという。

昨年末に開設した「山岳医事務所」では

(1)付き添い登山(日本登山医学会認定の医師・看護師の同行、山岳計画の作成)
(2)講演活動(登山やトレイルランニングの有用性と危険性の啓発)
(3)企業・団体向けアドバイス(開催者向けに医療面でのアドバイス)
(4)山関係のイベントサポート(救護班として救護体制の統括や実務)――に対応する。

神田橋さんは「ちっぽけな人間に、山はさまざまなことを教えてくれる。登山者が無事に下山して、山での体験を人生の糧とする手助けをしたい」と話している。

問い合わせは神田橋宏治山岳医事務所へ。




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