入浴時の寒暖差に気をつけて ヒートショックで昨冬、県内で280人死亡

冷え込みが厳しい冬場こそ、温かいお風呂には要注意-。県警によると、二〇一七年十月~一八年二月に県内で二百八十人(前年同期比四十三人増)が浴槽内で死亡した。入浴時の寒暖差による「ヒートショック」が要因の多くを占めるとみられ、専門家は「脱衣所と浴室を暖めてから入浴を」と呼び掛けている。 

昨年十二月、一人暮らしの狭心症の男性(47)が浴槽内で亡くなった。予約していた病院の職員が来院しないことを不審に思い、勤務先に連絡し、自宅を訪れた同僚が通報。心筋梗塞だった。今年一月には二世帯で暮らす女性(85)が入浴中に急性心不全で死亡。家族が見つけたのは翌朝で、浴室の電気がついたままだったため、気付いたという。

浴槽内での体調悪化は、溺死につながる恐れもある。厚生労働省の人口動態統計によると、二〇一七年に家庭の浴槽で溺死した人は過去十年で最多の五千五百三十六人。ヒートショックで意識を失うなどした場合が多いとみられる。

さいたま市民医療センターの石田岳史副院長は「高齢者はもちろん、たばこやコレステロールなど動脈硬化の危険因子をもつ四十~五十代も要注意。脱衣はたった数十秒の行為でも、命に関わる」と注意を促す。

対策として、暖房器具で脱衣所と浴室を暖めておく▽湯船の温度は四一度以下にする▽血圧が下がりやすい食事後や飲酒後の一時間は入浴を控える-といったポイントを挙げる。

日本気象協会では、一七年十月から、ヒートショックの危険度を「警戒」「注意」「油断禁物」と三段階で示した「ヒートショック予報」をホームページ「tenki.jp」で公開している。気象予測情報に基づき、家の中で生じる温度差などから独自に算出する目安を東京ガスと共同で開発した。

県内の予報は、ほぼ全自治体を網羅している。同協会の広報担当者は「若い人にはまだまだ、ヒートショックという言葉自体が浸透していない。熱中症のように、急激な温度差の危険性も知ってほしい」と話している。

<ヒートショック> 

急激な温度差により血圧や脈拍が変動し、体に負担がかかること。冬場の入浴時は、暖房の効いた部屋で安定していた血圧が、寒い脱衣所で熱を奪われまいと血管が縮むことで急に上がり、熱い湯船の中で血管が広がると今度は下がる。血圧が何度も上下すると、失神や心筋梗塞などを引き起こす。浴槽にいる場合は溺死につながる恐れもある。




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