手を触れずにロックを解除 スマートキーの車が盗難被害 新たな手口「リレーアタック」にご注意

わずか10秒でロック解除

年間1万件を超える被害が確認されている、自動車の盗難事件。技術の進歩の裏をつく新たな手口が出現しています。どうすれば、愛車を守れるのでしょうか。

東大阪市に住む37歳の男性は今年9月、鍵をかけて自宅の前に停めていた車を、盗まれそうになりました。

「土曜日の朝4時くらいに、ピンポン鳴って、何事かと思ったら、友達が、車とられそうになってたでって。僕が聞いて降りてきたときには、犯人は逃げてたんですけど、そこで鍵も開いてると。ただただ、びっくりですよね。何で開いたんや、何で開けられたんやって」(被害男性)

再び被害に遭うことを恐れた男性は、自宅の防犯カメラで24時間、車が盗まれないよう、監視することにしました。

1週間後、玄関付近に現れた不審な人影。リュックのようなものを抱きかかえ、両手を広げています。すると、車のロックが解除されました。わずか10秒でドアを開けたその手口とは。

鍵がないのにエンジンスタート「リレーアタック」とは

現在生産されている車の多くは、鍵が出す微弱な電波に反応し、ドアに触れただけでロックを解除する、スマートキーシステムを採用しています。

犯行グループはこのシステムを悪用します。一人が特殊な装置で車から離れた場所にある鍵の電波を中継。車の近くにいる窃盗役がドアのロックを解除し、エンジンをかけます。電波を中継する手口から「リレーアタック」と呼ばれています。被害に遭った男性は当時、車の鍵を家の中に置いていましたが、屋外から電波を拾い、中継されたとみられています。

「同じ電波を出していれば、何でも開くんやろうなと思って。だったらもう、やりようがないなというのがありますよね」(被害男性)

幸い、通行人がいたため、男性の車は盗まれずにすみました。大阪府警は、犯行グループがリレーアタックで車のロックを解除したとみて捜査。関西でこの手口とみられる盗難の被害が確認されるのは初めてです。その後、隣の大阪市内でもリレーアタックの疑いがある被害が1件確認されていて、府警は、同一犯の可能性が高いとみて調べています。

すでにヨーロッパではリレーアタックの被害が広がっていて、動画などで注意が呼びかけられています。オーナーを尾行している犯人が特殊な装置で鍵の電波を中継し、離れた仲間がロックを解除。エンジンをかけて走り去る犯人の手口が忠実に描かれています。去年、オランダのアムステルダムで開かれたセキュリティの専門家らの会議では、緊急課題として取り上げられました。

盗難被害の背景に 海外で高まる日本車人気

国内の自動車盗難の認知件数は、2003年をピークに減少。それでも去年1年間で1万213件の被害がありました。専門家は、その背景に、盗難車を海外へ転売する犯罪集団の存在を挙げます。

「海外の需要が高いような車があって、それを狙うならば、当然日本に入ってくる。一番今、自動車盗で狙われているのは、プリウスだったり、中東ならランドクルーザーやハイエース」(摂南大学 中沼丈晃准教授)

国内で盗難被害に遭った車種をまとめたランキング(日本損害保険協会調べ)を見ると、1位から10位まで、日本メーカーの車種が並びます。日本車は性能が高く、トヨタの車種を中心に海外で人気を集めているということです。

リレーアタックに限らず、車の盗難被害は後を絶ちません。大阪府警は先月までに、国産の高級車を中心に270台以上を盗み、パキスタンやナイジェリア、シンガポールなどに輸出していたとみられる男ら12人を摘発しました。

手口の巧妙化が進むなか、警察庁は、今後、被害の拡大が予想されるリレーアタックについて自動車メーカーに技術面での対策を検討するよう要請しています。

近年、多くの日本車で採用されているスマートキー。ここから出る電波を遮ることが有効な予防策

今すぐできる対応策は

電波を増幅させて車を盗むリレーアタック。どのような対策ができるのでしょうか。

「電波を車に行かせない状態にすれば、動かない。スマートキーからの電波を遮断することによって、この電波を盗まれることは、まずありません」(自動車販売店「エムズスピード大阪」大石唯勝さん)

リレーアタックの対策として最も重要で、そして簡単なのは、スマートキーの電波が出ないようにすることです。カー用品店などでは、電波を遮断するポーチが販売されています。

「実際には、ここに入れることによって、まったく電波が遮断されている状態になって開きません」(大石さん)

金属製の缶やアルミホイルなど、家庭にあるものでスマートキーからの電波は遮断できる

もっと身の回りにあるもので、電波を遮断することができないか、測定器で検証してみました。まずは、お菓子などが入っている金属製の缶。

「実際に周波数も出ていませんし、操作もできませんので、電波は遮断されていることが確認されます」(大石さん)

アルミホイルで包むという方法でも。

「動かないですね。これもかなり有効手段」(大石さん)

このように、ちょっとした工夫でリレーアタックの被害に遭うリスクを大きく減らすことができます。

「ポケットに入れていたりしても、操作せずに動かすというのがスマートなキーとして開発されたと思うんですけど、ちょっと不便になったとしても、電波を出さない対策をとるというのがリレーアタック対策かなと思います」(大石さん)

最新の技術を駆使した自動車でも、盗難被害に遭ってしまう。被害男性は驚きを隠せなかった

車を盗まれそうになった男性は、まさか自分の車が狙われることはないと思っていたといいます。

「レクサスの盗難は聞いたことがありますね、近所では。ただ、これは大丈夫やって。この形のやつは最新だし、大丈夫やって。開けられたっていうのはきいたことがないと、きいていたので、安心はしていたんですけども。そんなに簡単に盗れてしまうのかと思ったのが正直なところ」(被害男性)

瞬く間に車を盗み去るリレーアタック。あなたの車も狙われているかもしれません。




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