駐車違反「逃げ得」許さない 静岡県警が徴収強化、差し押さえも

駐車違反の放置違反金を滞納する人が後を絶たず、静岡県警が徴収対策を強化している。10月には滞納者の自宅に立ち入って違反金を直接徴収する「捜索差し押さえ」の実施に初めて踏み切った。

滞納が横行すれば不公平感が高まり、制度の根幹を揺るがしかねないためだ。減少傾向にあるとはいえ、県内の未納額は1600万円強に上る。県警は「逃げ得は許さない」と強い姿勢で臨む。

「警察ですが、駐車違反のお金が支払われていません」―。12月13日早朝、藤枝市の30代男性宅を県警放置駐車対策センターの交通巡視員や警察官が訪れ、こう告げた。「この場で収めなければ自宅を捜索して財産を調べさせてもらいます」。応対した男性は驚いた様子だったが、すぐに6万円を納付した。

この日は7人から計14万7千円を徴収した。うち3カ所で実際に家の中に入って現金があるかどうかを調べた。突然の訪問に怒りをぶつける滞納者もいたが、家を捜索すると聞くと支払いに応じる人が大半。担当者は「支払うことができるのに、ただ払いたくないという理由で納付していないケースが多い」と語る。

■何度も督促

捜索差し押さえは国税徴収法に基づく措置で、滞納者の自宅を訪れて違反金を直接徴収する。その場で現金を支払えない場合には、車などの資産を差し押さえることもある。

納付期限を過ぎるとすぐに捜索に踏み切るわけではないが、納付命令や督促状、催告書、差し押さえ予告通知書などに応じることなく納付を拒み続ける滞納者は、捜索対象になり得る。

県警はこれまでにも、滞納者の銀行口座や給与を差し押さえてきたが、残高不足などで徴収できないケースがあった。中には徴収を免れるため、意図的に口座から現金を引き出しているとみられる悪質な滞納者もいたという。

■1割未納付

県警交通指導課によると、2017年度の放置違反金の未納額は1673万7千円で、過去10年で最も少なかった。ただ、収納率は90・5%。依然として1割近くが納付されていない実態が浮かぶ。

一方、17年の放置駐車違反の取り締まり件数は1万6091件で、この10年で3割以上減った。コインパーキングが増え、駐車違反自体が減少したためとみられる。

駐車違反は渋滞を招くだけでなく、駐車車両の陰からの飛び出しなど人身事故の要因にもなる。県警幹部は「違法駐車を減らすことは命を守ることにもつながる」と指摘する。

■仮想通貨も

放置違反金制度は06年に施行された改正道交法で新設された。駐車違反した運転者が出頭しない場合、車の車検証上の使用者に対して放置違反金の納付を命じることができるようになった。滞納すると車検時に車検証を受けられなくなったり、車の使用を制限されたりする。

全国の都道府県警察の中には、違反金の滞納者から仮想通貨のビットコインや不動産投資信託の差し押さえといった強硬手段に踏み切るケースもあり、悪質な滞納者に対する“包囲網”が広がっている。

県警の担当者は「滞納者には繰り返し自主納付を促し、応じない場合には今後も捜索差し押さえを実施していく」と強調した。




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