忘年会の季節 レモンの皮の安全性を考えた

国内で流通するレモンの8割は海外からの輸入品だ。輸送の際に防カビ剤が使われることから、飲み物に入れるなど皮ごと使う場合、「ポストハーベスト(収穫後)農薬」を気にする人も多いようだ。忘年会などパーティーシーズンの12月は、東京都内などでとくに多く出回るレモン。その安全性について考えた。

■海外は農薬、国内は添加物

レモンやミカンは、収穫から時間がたつと果皮にアオカビが生えることが多い。かんきつ類には、「プロリン」と呼ばれるアオカビの成長を促進するアミノ酸が含まれているからだ。

カビやダニなどの研究をしているエフシージー総合研究所研究員の小田尚幸さんは「果皮に傷ができるとプロリンを含め内部の水分や栄養素が流出し、プロリンを好むアオカビが繁殖してしまう」と説明する。

海外から輸入するかんきつ類は、コストを抑えるため船便で運ばれる。収穫から店頭に並ぶまで数週間かかることもあり、カビの発生を抑えるために防カビ剤が使われる。

防カビ剤は、収穫後にかんきつ類に吹きかけるなどして使うことから「ポスト・ハーベスト(収穫後)農薬」と呼ばれる。

防カビ剤に使われるイマザリルやチアベンダゾール(TBZ)、オルトフェニルフェノール(OPP)などの薬剤は、海外では「農薬」と呼ばれる。日本では、収穫後にカビ防止目的で使う薬剤は「食品添加物」として扱われ、食品衛生法のもとで管理されている。

■水際でチェック

このため、「本来『農薬』であるものを『食品添加物』としているのは、規制をすり抜けるためだ」などと批判する記事が週刊誌やインターネット上では後を絶たず、防カビ剤を使ったレモンの皮を“危険”と考える人も少なくない。

これについて一般財団法人「残留農薬研究所」毒性部長の青山博昭さんは「安全かどうかは食品に残存する量で考えることが大事だ」と指摘する。

農薬も食品添加物も「人が食べたときの安全性」を考え、「食品に残存していい量」が決められている。海外から輸入される農作物は、この基準が守られているか書類および抜き取り検査により水際で調べられている。

市場に流通後も自治体などが定期的にチェック。平成26年度の東京都の残留農薬調査によると、米産やチリ産のレモンで基準を超えるものはなかった。

青山さんは「防カビ剤も大量に摂取すれば毒になるだろうが、レモンの皮に残存する量は健康に影響が出ないように厳しく管理されている。農薬が使われた輸入レモンの皮をそのまま食べても、農薬中毒になることはない」。

■食べずに廃棄

一方で、カビが生えたかんきつ類には、「カビの部分を取り除けば食べても大丈夫」と無頓着な人が多い。

しかし、かんきつ類に生えるカビの中には、人体に有害な物質(カビ毒)を産生する種があり、表面のカビを除去しても内部のカビ毒はなくならないのだ。

カビ毒には発がん性があり、長期にわたって摂取することで肝がんや腎がんとなるリスクがある。

だから、小田さんは「カビが生えたミカンやレモンは食べずに廃棄すること」と警鐘を鳴らす。

小田さんは、「廃棄する際は使い捨てのマスクと手袋を着用し、カビが飛び散らないように消毒用エタノールを十分に含んだペーパータオルなどで汚染果実を包み、ポリ袋に入れ密封して捨ててほしい」と話している。




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