災害時トイレ、対策啓発強化 静岡県民調査、備蓄なし6割

災害時には、断水や停電、下水道設備の破損などにより水洗トイレは使用できなくなる。近年の災害現場でも大きな問題となった。一方、県の2017年度の調査では、携帯トイレを備蓄していない世帯は約6割に上り、食料や飲料水と比較して意識の低さが浮き彫りに。県は「『食べること』『飲むこと』『排せつすること』はセット」として啓発を始めた。

県は10月、阪神・淡路大震災を契機に各地で災害対策の重要性を伝えている日本トイレ研究所(東京都)と共催で、災害時のトイレ対策に特化したフォーラムを初めて開いた。各家庭での携帯トイレの備蓄を促すチラシも約10万部作成した。

2日の「地域防災の日」には磐田市など複数の自主防災会が災害用トイレの訓練を行ったが、県危機情報課の担当者は「災害用トイレは多種多様で、災害発生の時期や環境に応じてバランス良く備える必要がある。問題意識を一層高めたい」と話す。

「阪神・淡路大震災から20年以上たつが、同じような問題を繰り返している」。同研究所の加藤篤代表理事は指摘する。同研究所によると、同震災では広域断水が発生し、全面復旧までに約3カ月を要した。避難所のトイレは汚物の山ができ、し尿処理も困難に。「トイレパニック」という言葉が生まれた。

東日本大震災では、多くの避難所で仮設トイレが行き渡るまでに4日以上かかった。熊本地震では、多目的トイレがない避難所があり、高齢者らが不便を強いられたという。

対策が進まない理由について加藤代表理事は、「水洗トイレはあまりに便利で快適。使えなくなったことを想像できない上、排せつのことを他人に話すことはほとんどない」と推察する。ただ、トイレに行かないように水分摂取を控えることで持病の悪化やエコノミークラス症候群を引き起こす可能性がある。公衆衛生の悪化は感染症の危険にもつながる。

同研究所の調査で、熊本地震の被災地では、発災から6時間以内に約7割の人が「トイレに行きたくなった」と答えたとし、「トイレ対策こそスピードが問われる」と強調した。

内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」では、必要数の目安を、発災当初は避難者約50人当たり1基、長期化した場合は約20人に1基などとして、避難者の状況や被害の程度を考慮した計画作成を自治体に求めている。

県は各家庭では「1人当たり1日5回分を1週間分」の携帯トイレの備蓄が必要としている。

■災害廃棄物処理 市町計画策定 収集運搬、処理体制ポイント

静岡県内市町はし尿を含めた災害廃棄物処理に関して、県第4次地震被害想定に基づいて計画を策定し、対策を進めている。

県廃棄物リサイクル課によると、34市町が計画を策定済みで、残る函南町も本年度中に策定予定。同課の担当者は、仮設トイレの使用によるくみ取りの発生や、処理施設自体の被災や停電などを見込んだ収集運搬・処理体制の確保などをポイントに挙げる。

富士市は環境省の2018年度モデル事業として、専門家を交えて仮設トイレの配備計画やし尿処理対策の強化を図っている。




http://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/bosai/575559.html