イワシクジラ食べられない可能性 19年度から

◇ワシントン条約委「主に商業目的」で販売に「待った」

日本が北西太平洋の調査捕鯨で捕獲するイワシクジラが、来年度から食べられなくなる可能性が出ている。絶滅の恐れがある野生生物の国際取引を規制するワシントン条約の常設委員会が先月、「主に商業目的の使用」に当たるとして、イワシクジラの肉の販売に「待った」をかけたためだ。流通業界は近く解禁される今年度分の販売にも二の足を踏んでいる。

調査捕鯨を実施する日本鯨類研究所(鯨研、東京)が1日、東京都内で開いた「品見会」。調査捕鯨の「副産物」である鯨肉を品定めするため、販売解禁前に毎年開かれており、全国の流通業者ら約100人が参加した。試食コーナーには、5〜8月に捕獲したイワシクジラ134頭(1075トン)とミンククジラ43頭(79トン)の一部が並び、関係者が舌鼓を打った。

だが、イワシクジラの肉の行方には不透明感が漂う。常設委が、販売は「商業目的の使用」だとして、ワシントン条約違反と認定したためだ。北太平洋のイワシクジラは希少性が高く、最も厳しく規制すべき野生種のリスト「付属書1」に掲載され、商業目的での貿易や公海からの持ち込みが禁じられている。常設委は日本に来年2月1日までに是正措置を報告するよう勧告。来年5月の常設委で議論され、不十分と見なされれば、来年度から肉の持ち帰りができなくなる。

日本は「国際捕鯨取締条約が認めた科学的調査が目的で、商業目的ではない」と主張。同条約は捕獲した鯨の有効活用も求めており、販売はその規定に沿っているとの立場をとってきた。品見会でも水産庁の長谷成人長官が、これまでに捕獲した鯨肉の販売は勧告の対象外で問題ないと強調した。だが、流通関係者は「日本と国際社会の認識にずれがある。販売後に『勧告を無視した』と非難されかねない」と不安げに語った。「違法鯨肉の販売をやめてください」との匿名文書が届いた販売店もあり、業界では風評被害を懸念する声が高まっている。

日本が従来の主張で来年度以降も販売を続けるのは困難だが、対応は未定だ。水産庁は是正措置として▽イワシクジラを捕らない▽学校給食などで無償提供する▽調査後に海洋投棄する▽ごく少量の販売にとどめる−−などを検討するが、売り上げが減れば翌年度の調査費が賄えなくなり、妙案はない。鯨研の藤瀬良弘理事長は「ダメージは大きいが、国の方針決定を待つしかない」と語った。

ただ、勧告ですべての鯨肉が食べられなくなるわけではない。調査捕鯨で捕獲しているミンククジラなどは付属書1に掲載される際、日本は同意しなかったため商取引ができる。

◇調査捕鯨

1982年の国際捕鯨委員会(IWC)の商業捕鯨モラトリアム(一時停止)採択を受け、87年に始めた。今年度は5〜8月に北西太平洋、11月〜翌年3月に南極海で実施。年齢などを調べた後の鯨肉を「副産物」として国内で販売。売り上げ(年間約25億円)で翌年度の調査費の約6割を賄う。




https://news.goo.ne.jp/article/mainichi/business/mainichi-20181110k0000m020212000c.html