配偶者控除額、夫と妻の所得で判定 年末調整の変更点

会社勤めの人は例年11月ごろになると年末調整に関する書類を配布されます。年末調整は、この1年の所得とそれにかかる所得税を決定するものです。今年は配偶者控除・配偶者特別控除の仕組みが変更され、会社から配布される年末調整に関する書類の記入が難しくなっています。変更点を中心にお話したいと思います。

■提出書類は2枚から3枚へ

すでに年末調整に関する書類を受け取った人もいるのではないでしょうか。子供が16歳になると扶養控除の対象になりますし、生命保険に加入していれば生命保険料控除を受けられます。必要事項を記入して提出すると、会社が税金の計算を代行してくれます。

昨年と同様であれば今年も、

1 平成31年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申請書

2 平成30年分 給与所得者の保険料控除申請書兼給与所得者の配偶者控除申請書

の2枚になるところですが、今年から2の書類が2つに分かれ、以下のように3枚になりました。

1   平成31年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申請書

2−1 平成30年分 給与所得者の保険料控除申請書

2−2 平成30年分 給与所得者の配偶者控除申請書

1の書類は昨年までと同じく、来年の家族構成を事前に伝えて、毎月の給与から概算の税額を差し引く(源泉徴収の)ための書類です。2−1の書類は生命保険や地震保険、確定拠出年金に加入している場合に支払った保険料や掛け金などを記入するもので、昨年と大幅に変わるわけではありません。

今回の記入に際して、苦労する人が多いと考えられるのが、2−2の書類です。

■本人と配偶者、それぞれの所得を記入

今年から配偶者控除・配偶者特別控除の額の判定について、本人の所得を3段階で区分し、配偶者の所得も加味するというルールに変わりました。このため、2−2の書類を記入する際は、本人の所得と配偶者の所得、控除額を自分で計算していくことになります。

実際の記入の順番は以下の通りです。

まず、申告書の真ん中にある「合計所得金額の見積額の計算表」の枠を埋めていきます。ここでは自分の所得金額である「あなたの合計所得金額(見積額)」と、配偶者の所得金額である「配偶者の合計所得金額(見積額)」をそれぞれ算出します。

申告書の裏面に記載されている説明を見ながら計算しますが、夫婦ともに給与所得だけの場合は、【(1)給与所得】の表を参考に数字を記入します。例えば、年収130万円の妻と暮らす、年収600万円の夫が記入する場合だと、次のようになります。

●あなたの合計所得金額(見積額)

給与所得 収入金額等(a)の欄:600万円、所得金額(a)−(b)の欄:426万円

※計算は裏面の【(1)給与所得】表に従って下記のように行います※

600万円÷4(千円未満切捨て)=150万円

150万円×3.2−54万円=426万円

●配偶者の合計所得金額(見積額)

給与所得 収入金額等(a)の欄:130万円、所得金額(a)−(b)の欄:65万円

※計算は上と同様に裏面を参照して行う※

130万円-65万円=65万円

配偶者控除申告書

給与以外に、副業や不動産賃貸で収入を得ていれば、雑所得や不動産所得なども必要経費を差し引いて算出していきます。給与以外の所得も記入できるようになっており、年末調整の用紙というよりは、もはや確定申告書のフォーマットに近い印象を覚えます。

自分と配偶者のそれぞれの合計額((1)〜(7)の合計額の欄)が計算できたら、自分の所得については「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」欄に記入します。その金額が、隣の「判定」欄にある、900万円以下(A)、900万円超950万円以下(B)、950万円超1000万円以下(C)のいずれに該当するかを確認してチェックし、「区分1」欄にアルファベットを記入します。今回のケースでは(A)になります。

配偶者の所得についても「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」欄に記入し、その下の「判定」欄にある(1)〜(4)までの数字を「区分2」欄に書きます。今回のケースで妻の年齢が40歳なら、「38万円超85万円以下」の(3)になります。

最後に、申告書の一番下にある「控除額の計算」の表で、区分1の(A)と区分2の(3)がクロスするところが配偶者控除・配偶者特別控除の金額になります。今回のケースでは「配偶者特別控除の額」に38万円と入ります。

■国税庁は自動計算できるエクセルのフォーマットも提供

自分で計算するには少し大変な作業ですが、この書類についてはエクセルで自動計算できるフォーマットが国税庁から提供されています。パソコンやエクセルが使える環境にある人は、こちらのフォーマットをダウンロードして使うのがよさそうです。

また、今回のフォーマットが確定申告の書類にかなり似通っていることを考えると、自分で確定申告することに挑戦してもいいかもしれません。毎年1月に国税庁がインターネット上に開設する「確定申告書等作成コーナー」では、所得などの数値を入力するだけで確定申告書を作成できるため、慣れてきたら確定申告相談会や管轄の税務署に足を運ばなくても手続きを終えることができます。パソコンにエクセルが入っていなくてもネットやブラウザなどの環境が条件を満たしていれば利用できるため、確定申告書作成コーナーの方が楽だと感じる人もいるかもしれません。

確定申告については、一部スマートフォンで提出が可能になる動きがあります。マイナンバーカードなどで本人認証をして電子申告をする印象もあるかもしれませんが、書類の作成までを確定申告書等作成コーナーで行って、印刷・投函(とうかん)することで手続きを終えることもできます。

風呂内亜矢

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。26歳でマンションを購入したことをきっかけにお金の勉強を始める。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。最新刊「ほったらかしでもなぜか貯まる!【なぜたま!】」(主婦の友社)など著書・監修書籍も多数。管理栄養士の資格も持つ。http://www.furouchi.com/




https://news.goo.ne.jp/article/nikkeistyle/life/nikkeistyle-DGXMZO3747849007112018000000.html