<認知症>投薬患者67%が甲状腺検査未受診 不適切治療も

抗認知症薬を使う患者の約3分の2が、学会の診療ガイドラインで推奨されている甲状腺機能検査を受けていないとの調査結果を、医療経済研究機構のチームがまとめた。認知症の症状は甲状腺機能低下症でも表れ、その場合は適切に治療すれば回復が期待できる。検査を受けないと、改善が見込める病気を見逃して不要な薬が使われ続けることになり、チームは「医師は適切に鑑別してから薬を出すべきだ」と指摘する。

国内の認知症患者は2012年の推計で約462万人。アルツハイマー病など治療が難しいものもあるが、海外のデータなどから、1割前後は甲状腺機能低下症などに伴う症状で回復可能とみられている。このため日本神経学会など複数の学会は、17年策定の認知症疾患診療指針で、認知症と診断した場合に甲状腺ホルモンなどを測定する機能検査の実施を推奨している。

しかし、同機構が国のレセプト(診療報酬明細書)情報のデータベースから、15年度の1年間に認知症と診断されて抗認知症薬を新たに出された65歳以上の患者26万2279人分を分析したところ、薬が出る1年前までに甲状腺機能検査を受けた人は33%にとどまった。実施率は診療所が25.8%と低く、専門的な治療を担う認知症疾患医療センターに指定された医療機関でも57. 1%だった。高齢になるほど、甲状腺機能検査が行われない傾向もみられた。

抗認知症薬はアルツハイマー病やレビー小体型認知症に処方され、症状の進行を緩やかにする効果がある。甲状腺機能低下症には適応がない。

同機構主任研究員の佐方信夫医師は「治せるはずの認知症が検査をしないことで見過ごされ、大きな問題だ。不適切な薬の服用で、症状の改善が見込めないばかりか、食欲不振やめまいなど患者に不利益を与えている恐れもある」と話す。




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