<アスベスト>工場跡周辺、住民が中皮腫 東京・4人死亡

東京都大田区の半径約500メートルの住宅密集地で、住民4人が2007~17年に中皮腫で死亡したことが、関係者の話で明らかになった。この地域には、1980年ごろまでアスベスト(石綿)を扱っていた工場があった。中皮腫は石綿の吸引が原因とされるが、4人に石綿を扱う職歴はなく、診察した医師らは工場からの飛散が原因とみられると指摘。市民団体「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」によると、周辺住民が集団で石綿による病気になったのが疑われるのは都内では初めて。

石綿が原因の病気は吸引から数十年後に発症するとされ、全国にあった工場周辺の住民らに患者が増えることが懸念されている。

診察した医師らによると、死亡した4人は7~76年間、工場周辺に居住。うち男性3人は工場から約200メートル以内に住んだ経験があり73~82歳で死亡、59歳で亡くなった女性は、自宅から約500メートル離れた工場近くによく行っていた。

男性3人を診察した東京労災病院の戸島洋一・呼吸器内科部長は「3人とも石綿関係の職歴がない上、工場近くに長期間住んでいた。飛散石綿以外に原因が考えにくい」と指摘。女性の兄(69)は「妹は子供のころ、工場周辺に積んでいた石綿で砂遊びのようなことをしていた」と証言した。

厚生労働省などによると、工場は37~80年ごろ石綿を用いてセメントなどを製造、複数の元従業員が石綿原因の病気で労災認定された。その後閉鎖されたが、08年に大田区の調査で周辺の住民に、肺の組織が石灰化する石綿原因の胸膜プラークが確認された。工場を運営していた会社は「コメントできない」と話した。

05年6月には兵庫県尼崎市の旧クボタ神崎工場周辺で、住民5人の中皮腫発症が明らかになった。その後患者は増え続け、クボタは昨年末までに300人以上の患者らに救済金を支払っている。各地でも被害報告があり、06年には周辺住民など、労災保険の給付を受けられない患者を対象に、療養手当などを支給する石綿健康被害救済法が施行されている。

【ことば】 アスベスト(石綿)と中皮腫

石綿は太さが髪の毛の数千分の1程度の繊維状鉱物。安価で耐火性に優れるため、断熱材などとして広く使われた。2012年に使用が全面禁止された。中皮腫は石綿を吸い込むと数十年の潜伏期間を経て発症するがんの一種。国内の年間死者数は15年に1500人を超え、10年前の1.6倍に増えている。




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