「多死社会」公営墓地、管理費滞納急増、政令市で2万2千件超…大阪では放置墓から遺骨を無縁墓に移す作業開始

全国の公営霊園や墓地で、代替わりなどによって墓を受け継いだ人や親類縁者と連絡がつかなくなるケースが相次いでいる。産経新聞が政令指定都市20市に取材したところ、利用者の管理費滞納が昨年3月までに延べ約2万2600件にのぼることが分かった。滞納総額は約1億2千万円にのぼっており、大阪市や京都市では滞納額が10年間で4倍以上に急増。高齢社会の進行で、多くの人が亡くなる「多死社会」を控え、こうした傾向はさらに加速する可能性がありそうだ。

20政令市に対し、市営霊園・墓地の管理費の滞納状況や対応などを調査。大阪市では平成18年度の滞納額約310万円から28年度には約1300万円、京都市も18年度の約280万円が28年度に約1230万円になるなど、いずれも10年で4倍超に増えた。千葉市は記録の残る5年間で2・5倍に増加した。

公営霊園の需要も高い大阪市では、長年放置される墓が増え、25年ほど前から遺骨を市の無縁墓に移し、墓石撤去する作業を開始。川崎市も継承者と連絡が取れない墓の撤去例がある。

滞納額が21年度に約1100万円だった横浜市は、28年度に全政令市で最多となる約2100万円に増えた。同市では滞納が10年続いた場合は墓地使用許可を取り消せる条例があるが「できるだけ関係者を探して話し合う」(担当者)方針で、これまでに撤去したケースはない。堺市では管理費を20年以上支払わない利用者が10人いたが、「未払いは不公平であり継続的に請求を行う」としている。ただ、滞納から5年が過ぎると、経過分の徴収をあきらめているという自治体もあった。

一方、静岡市など、未納者への督促を強化するなどして、滞納総額が過去と比べて減少した自治体もある。また、札幌市や北九州市は契約時に20年分の管理費として一括支払いする方式をとっており、追加納付がなく、滞納が起きない仕組みにしていた。

公営霊園・墓地の電気代や水道代などに充てられる管理費は、1基あたり年間数千円程度。各自治体は滞納があれば墓の名義人や家族に電話や書類で連絡、納付を求めている。

墓や葬送に詳しい茨城キリスト教大の森謙二名誉教授は「墓地の持続的な経営には管理費は必要だが、家族観の変化や少子化の影響から、墓の継承を前提としたシステムが限界に達している」と話した。




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