【脳を知る】腰の神経圧迫で足のしびれや痛み 腰部脊柱管狭窄症

足のしびれや痛みと聞くと、足の関節や筋肉を傷めたのではないかと想像するかもしれません。しかし、傷めた記憶もないのに、そのような症状があったら、どのような病気を思い浮かべますか? 左右どちらかに症状が急に表れたり、言語障害を伴ったりすれば、脳卒中を疑いますので、すぐに病院に行くべきです。

症状が足にだけ出て、一定の距離を歩くと痛みやしびれが出現し、休むと消える場合、全く別の疾患を考える必要があります。安静にしていると症状がなくなり、一定以上歩くと足に症状が出ることを「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」と言います。これは、足の血管が狭窄(きょうさく)・閉塞(へいそく)している場合(閉塞性動脈硬化症)と、腰の神経に圧迫がある場合(腰部脊柱管(ようぶせきちゅうかん)狭窄症)に起こります。

前者の閉塞性動脈硬化症の場合、足の甲の動脈が触れにくくなったり、氷のように冷たくなったりする特徴があります。足が壊疽(えそ)をおこす場合もあるので、急いで治療を要することもあります。

後者の腰部脊柱管狭窄症の場合、足が冷たくなることはありません。また、前かがみが楽なので自然と前傾姿勢で歩いていることも多いです。同じような理由で、歩行を続けるのはつらいのに、自転車ならかなりの距離を移動できるというのも特徴です。100メートル先の友人宅まで歩くよりも、1キロ先のスーパーに自転車で行く方が楽という不思議な現象が見られたりします。

私が治療を担当しているのは、この腰部脊柱管狭窄症です。心臓の病気やがんなどのように生命を奪う疾患ではありませんが、生活の質を落とします。歩けなくなってくるので運動量も減り、筋肉も落ちてきます。そうすると転倒しやすくなり、骨折や頭のけがをしがちです。

根本的な治療は手術になりますが、症状が軽い場合は内服薬である程度、症状を緩和し、その状態を維持することも可能です。手術となると二の足を踏まれる方は多いですし、その気持ちは十分に理解できます。しかし、80歳を超えていても、心肺機能がしっかりしていれば手術を受けることは不可能ではありませんし、手術後に「もっと早くやっておけばよかった」という声もよく聞きます。

足のしびれや痛みの原因は、いろいろあります。腰や足の血管以外の病気(関節や筋肉の問題)の場合もありますし、複数の疾患が混ざっている場合もあります。足のしびれや痛みが気になる場合は一度、脳神経外科の外来にお越しください。意外と簡単な解決方法があるかもしれません。

(済生会和歌山病院 脳神経外科 医長 三木潤一郎)




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