<終活>「レンタル墓」なぜ選ぶ? 数十万円で5~10年

墓地・墓石をお貸しします--。核家族化や宗教離れなどライフスタイルの変化で「お墓」の形態が多様化する中、比較的低予算で一定期間だけ利用できる「レンタル墓」が近年、奈良県内にも現れ始めている。死後の世界や故人とのつながりの象徴でもある墓は、人の生き方や考え方の変化も鏡のように映し出す。レンタル墓に込められた意味を探った。

さまざまな形をした墓約400基が並ぶ奈良市十輪院町の南都十輪院の墓地で、つやつやと輝く3基の墓石が目立つ。今年1月に寺が建てたレンタル墓だ。「墓じまいで空いた所に建てた。需要があるようなら今後も増やそうかと」と橋本純信住職(69)。墓を探す人の事情や檀家(だんか)の要望などに触れ、設置を決めたという。墓は、名前や戒名が彫られる上部の石板が取り外し可能になっている。

墓は普通、血縁で代々受け継がれるもので、「一般墓」と呼ばれる。この一般墓とは別に、血縁の有無に関わらず一つの場所に遺骨を安置して寺院に管理・供養を依頼する永代供養墓や納骨堂、樹木を墓標とする樹木葬なども存在する。

墓の情報サイト「いいお墓」を運営する鎌倉新書(東京都)が3月に発表した調査結果によると、一般的な墓を選ぶ人の割合は46・7%で、平均購入額は約170万円。重い負担に加え、核家族化や少子化が進む近年、「子供に負担を掛けたくない」と永代供養墓を選ぶ人の割合は増えているという。

「“負の遺産”にはしたくないが、自分の墓がないのは寂しい」。こうした声に応える形で、「折衷案」的に登場したというのがレンタル墓だ。貸与期間は多くは5~10年前後と設定され、費用は期間や墓石の種類で数十万程度に抑えられる。ほとんどの場合、貸与期間終了後、遺骨は有料で一般的な墓や永代供養墓に移される。

「30年ほど前に公営霊園の倍率が上がった頃に登場した」とレンタル墓について語るのは、日本石材産業協会の会長で「射場石利石材」(大阪府茨木市)を経営する射場一之(かつゆき)さん(52)。レンタル墓の数などに関する正式なデータはないが、「10年くらい前からじわじわと広がり始め、ここ4、5年でグンと増えた」という。レンタル墓を求める人の思いについて、射場さんは「先祖を大切にする日本人の伝統的な価値観の表れでは」と見る。

一方、南都十輪院の橋本住職は、家族の絆や檀家制度の衰退を指摘。「科学の進歩によって目に見えないものへの有り難みや畏れを失った人は、かえって(科学では説明できない)死後の世界などへの不安を抱え込んでいるように感じる」と危機感を語る。

「平成に生まれた人の墓はどんな風になっていますかね」と橋本住職。これからも時代に応じた墓との付き合い方について思いを巡らせるつもりという。




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