(朝鮮日報日本語版) 韓国政府、世界初の「少子化税」検討

韓国政府は出生率を引き上げるために思い切った育児費用支援策が必要だと考え、これに必要な莫大(ばくだい)な財源を調達する目的税の新設を検討している。仮称「少子化克服のための目的税」(以下、少子化税)だ。実現すれば世界初の試みとなる見通しだ。

政府関係者が15日に明らかにしたところによると、企画財政部(省に相当)は少子化税新設に伴う政策効果などを把握するため、韓国租税財政研究院に研究を依頼したとのことだ。

政府はまた、スウェーデンやカナダ・ケベック州などで実施中の「父母保険」制度を導入する案も検討している。これは、労使が出した保険料を財源に、育児休業給付などを与える専用社会保険を作るというものだ。政府は来月の大統領主宰国家財政戦略会議でこれらの案を含む少子化対策について話し合う予定だ。

少子化税は地方教育税や交通エネルギー環境税のような目的税を新設し、基金(仮称:未来世代特別基金)を設ける案だ。世界には社会保障税を掛ける国があるが、少子化税の導入は例がない。用意する財源の規模や具体的な徴収方法などは関連研究を通じて具体化される見通しだ。

政府のある関係者は「税金を賦課して数兆ウォン(数千億円)の特別基金を設ければ、出産・育児手当はもちろん、住居費支援などさまざまな事業にも広げられる」と語った。別の関係者は「財源の額に応じて第二子から1億ウォン(約1000万円)のバウチャー(公共サービスなどを受けられる引換券)を与える対策も可能だ」と説明した。

韓国保健社会研究院が2016年に発表した実態調査結果によると、既婚女性は第二子を産まない最大の理由に育児費の負担(24.3%)を挙げているという。教育費が最も負担になるという回答も22.3%に達した。政府がもう一つの対策として検討している「父母保険」は現在の育児休業給付制度を補強しようというものだ。

韓国では雇用保険から育児休業給付を出しているが、雇用保険に「居候」しているため支給額が少なく、雇用保険に加入している会社員にしか支払われないという問題がある。このため、別途に専用の社会保険である父母保険を作れば、会社員だけでなく自営業者でも保険料さえ払えば育児休業給付を受け取れるようになる。また、財源が増えれば給付額も休職前の給与とほぼ同じ額まで引き上げられる。

政府がこうした方策も検討しているのは、少子化問題が国を揺るがしかねないほどの問題になっているためだ。韓国の合計特殊出生率は昨年、過去最低の1.05人まで低下した。これは、1人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までの間に1人しか子どもを産まないという意味で、経済協力開発機構(OECD)加盟国で最下位だ。韓国経済をけん引する生産可能人口(満15歳から64歳まで)も既に昨年から減少し始めている。

金東ヨン(キム・ドンヨン)経済副首相兼企画財政部(省に相当)長官も4日の幹部会議で、これまでの対策を全面的に見直しし、上半期中に特段の対策を立るよう指示した。政府は「この12年間に126兆ウォン(約12兆6000億円)をつぎ込みながらも少子化問題を解決できなかった」と批判されている。

漢陽大学高齢社会研究院のイ・サムシク院長は「政府は12年間で126兆ウォン使ったが、各部処(省庁)に予算が分散してしまい、零細な政策を量産しただけになった。もっと集中的かつ根本的な投資が必要だ」と指摘した。

しかし、税金を新たに設けるには社会的な合意が必要だ。また、税法を改正しなければならず、国会という関門も突破しなければならない。「少子化税」という解決策をめぐっては、政府内でも「今回の政権中に特段の対策を講じなければ、取り返しのつかないことになる」として支持派と、「6月の地方選挙を前に論争を招く必要はない」という反対派に分かれている。




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