“おいしい消費者”、グランド・ジェネレーション世代を狙え!

生活関連産業では活動的な中高年層向けの市場開拓を進めている。“健康寿命”という言葉が使われるようになり、小売りやメーカーは若々しさを保ちながら前向きに楽しい日々を過ごせるような、商品やサービスの提案に力を入れている。

イオンは55歳以上の「グランド・ジェネレーション(G.G.世代)」に焦点を当てた売り場「G.G.モール」を設けている。「G.G.世代」は若々しく年を重ね、豊かな知識と経験を持ちながら人生を楽しんでいる世代として、放送作家の小山薫堂氏が提唱している呼び方だ。

イオンのG.G.モールでは朝7―8時ごろから体操教室などの「朝活」を開催。店内のカフェでの朝食需要も取り込んでおり、地域の交流スペースとしての機能を目指している。

2017年11月に新しく開いたイオンスタイル検見川浜(千葉市美浜区)は店舗全体を「G.G.」に焦点を当てた。同店近くの団地やマンションに、1970年代ごろに入居した30代前後の人々が60―70代になり住んでいる。

同店を運営するイオンリテールはこうした住民にアンケートを取り、「健康」と「コミュニティー」がキーワードの店にした。減塩商品や野菜などを充実し、イートインスペースも設けた。

イオンモールではショッピングセンター(SC)内の「モールウオーキング」を推奨している。広いSC内は天候に左右されずに買い物を兼ねて歩き回れる。疲れたら館内の自動販売機で飲み物を買って水分補給したり、ベンチで休んだりすることも可能だ。村上教行イオンモール会長は「高齢者だけではなく、体が不自由な人のためにもなる。前向きに取り組まないといけない」と話す。

京王百貨店(東京都渋谷区)は新宿店(同新宿区)を中心に、シニア向けの品ぞろえに力を入れている。例えば、ルームソックスでは、履き口に幅が広く柔らかいゴムを使うといった機能面に配慮した商品だけではなく、ハート柄や動物柄など、明るい気分になるアイテムが人気だという。

食品各社もシニア市場に熱い視線を注いでいる。一般には高齢者は食が細るため、業界にとっては逆風。とはいえ、病気にかかりたくない、元気で長く活動したいなどの思いは高齢者に共通だ。

「これからの人々の願いは平均寿命ではなく、健康寿命になる」。キリンホールディングスの磯崎功典社長は強調する。病気にかかりにくい強い体を助けるプラズマ乳酸菌利用商品を「iMUSE(イミューズ)」ブランドで食品や医療向けに2018年から本格展開、新事業として伸ばす方針。

即席めん大手の日清食品は「カップヌードル」や「チキンラーメン」「どん兵衛」のブランドで、それぞれシニア向けの商品を発売している。

丼でなく、おわんで食べるサイズをうたい、1食当たりの重量はチキンラーメンで30グラムと通常品の半分以下。シニア世代が育った時代はカップヌードルなどの黎明(れいめい)期と重なる。

「特別な宣伝をしなくとも、なじんだブランドイメージで定番買いしてくれる。大変ありがたい存在」。安藤徳隆社長は指摘する。同社はコラーゲンなどを配合したプレミアム商品「カップヌードルリッチ」も発売。減塩化も進めている。

アサヒグループ食品は17年秋から、介護食品に「バランス献立」の共通ブランドを冠し、「うるおいキャンディ」など口腔ケア商品でも成長を目指す。シニア関連の売上高を20年に17年の3・5倍、50億円に伸ばす計画。キユーピーやケンコーマヨネーズ、日清オイリオグループなども介護食品で成長を目指す。

味の素は「栄養管理で培ったノウハウはシニア向けの食事開発にも生かせる」と担当者が語る。サントリーウエルネスも筋肉成分と軟骨成分配合で膝痛を予防するサプリメント「ロコモア」などで売り上げを伸ばしている。

“前向きにする商品”訴求

年齢にあらがい若さを求めるのではなく、年相応の美しさとともに人生を前向きに楽しみたい―。女性はいくつになっても、美しく健康で楽しい毎日を送りたいもの。化粧・日用品各社は、見た目の美しさに加え、前向きな気持ちになれる商品を訴求する。

花王は50代以上の女性に向けて、シャンプーなどのヘアケアブランド「セグレタ」を展開する。中でも60代以上の短髪女性に向けた「ふっくらボリューム1本で仕上がるシャンプー」が好調だ。この世代は、おばあちゃんと言われるには抵抗がある。一方で髪のボリュームがなくなり地肌の透けやつむじが気になるといった悩みを持つ人が多い。

花王の調査によると、30―40代の約9割が毎日洗髪するが、50代後半では約7割に減り、2日に1回洗髪する人が2割を超える。60代後半では2日に1回の洗髪が5割を超え、毎日洗髪する人は4割を切る。洗髪頻度の減少とともにコンディショナーを使わない人も多い。そのためシャンプー1本で簡単にケアできることが重要になる。

同社のヘアケア事業グループの石田佳子ブランドマネージャーは「人に会うときに自信が持てて負い目がなくなった、気持ちが弾んで外出が楽しくなったといった声がある。日々の生活の質を上げて、前向きに楽しんでほしい」と話す。

資生堂はシニア女性に向けて「プリオール」を展開する。下がる、凹凸、影、色、乾く、見えにくい、おっくうという“大人の七難”の解決をコンセプトに化粧品などを販売する。資生堂調査によると、「いくつになっても女であることをあきらめたくない」女性は調査対象の96%にのぼった。

ちふれ化粧品は、百貨店を中心に訴求するエイジングケアブランド「綾花」を展開する。アクティブシニアから少し下の世代、50代をコアターゲットに位置付けている。




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