きょうから一部で変更 社会保障の仕組みどう変わる

1日から社会保障の仕組みが一部、変更され、一定の所得がある高齢者について、医療費の自己負担の上限額が引き上げられるなどします。社会保障の仕組みは、どう変わるのでしょうか。

高額療養費制度の見直し

今回見直される「高額療養費制度」は、医療費の自己負担に上限額を設けて、過度な負担を防ぐための制度です。

しかし、増え続ける社会保障給付費を抑制するためには、これまで以上に医療費を自己負担してもらう必要があるとして、今月1日から70歳以上の上限額が引き上げられました。

平成26年4月以降に70歳になった人は現在、医療費の2割を自己負担しています。今回の見直しでは年収に応じて上限額が設定され、年収がおよそ370万円以上の人は外来診療の自己負担が1か月当たり4万4400円から5万7600円に、年収がおよそ156万円からおよそ370万円の人は1万2000円から1万4000円に引き上げられます。

一方、年収がおよそ156万円未満の人は上限額が1か月8000円のまま変わりません。70歳以上の自己負担の上限額は来年8月に再び引き上げられる予定です。

介護分野の見直し

また、介護の分野でも見直しが行われ、このうち40歳から64歳までの人が支払う介護保険料は、所得が高い人により多くの保険料負担を求める「総報酬割」が段階的に導入されます。

厚生労働省の試算では、平成32年度には健康保険組合に加入する大企業の社員などは、保険料が企業の負担分も含めて1人当たり月平均で727円増えるほか、共済組合に加入する公務員などは月平均で1972円増加する見通しです。

協会けんぽに加入する中小企業の社員らは逆に、月平均で241円減る見込みです。

さらに、介護サービスの自己負担が一定の金額を超えた場合に払い戻しを受けられる制度も変わります。年収340万円以上の人やその世帯では、これまで月に3万7200円を超えた分から払い戻しを受けられましたが、今月1日からは4万4400円を超える分しか受けられなくなります。

年金受給に必要な納付期間は短縮

一方、年金では受給するために必要な保険料の納付期間が、これまでの25年から10年に短縮され、より多くの人が年金を受け取ることができるようになります。

増え続ける社会保障給付費

高齢化が急速に進む中、医療や年金、それに介護などに支払われる「社会保障給付費」は増え続けています。

厚生労働省によりますと、平成8年度には67兆円余りでしたが、10年後の平成18年度には90兆円余り、そして、昨年度は予算ベースで118兆3000億円となり、20年間で2倍近く増えました。

今後も「社会保障給付費」は増え続ける見込みで、3年後には134兆円、8年後には148兆円と、今よりおよそ30兆円増えると推計されています。

社会保障給付費の財源には保険料や税金、それに国や自治体の借金にあたる「公債」が当てられています。国は「このままでは子どもや孫の世代に重い負担や過重な国の借金を背負わせることになる」として、今回、一部の費用負担を引き上げるとともに、社会保障費の抑制にも引き続き取り組んでいきたいとしています。

一方、政府は社会保障の充実や安定化を図るため、消費税率を10%に引き上げ、増収分はすべて財源などに充てることにしています。

しかし、税率の引き上げはさ来年の10月まで再延期され、財源の確保などへの影響が懸念されています。

厚生労働省によりますと、税率の引き上げ延期によって、当初、社会保障の充実に充てる予定だったおよそ1兆円が不足し、低所得者を対象にした介護保険料の軽減措置の拡大や、所得の低い年金受給者に最大で月額5000円を支給する事業などが実施できていないということです。

国の推計では8年後の2025年には、65歳以上の高齢者が全人口のおよそ30%を占めることになり、増え続ける社会保障費を誰がどう負担していくのかは、将来にわたる大きな課題となっています。

専門家「現役世代への対策も必要」

社会保障制度に詳しい上智大学の栃本一三郎教授は「もともと社会保障制度は支払う能力のある人が負担し、支払う能力が無い人は負担を軽くするというものなので、今回の引き上げはやむをえないことだと思う」と話しています。

さらに、栃本教授は「国民の不安感は増大し、特に現役世代の人たちは一方的に負担させられているという不信感を持っていて、このままでは理解を得られなくなるおそれもある。負担は増えたが自分たちの生活も改善されてきたと思えるよう、子育て支援の強化など現役世代への対策も力を入れていく必要がある」と話しています。




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