愛媛新聞社説 加計学園問題 今治市は疑惑解明へ情報開示を

学校法人「加計学園」による今治市への獣医学部新設を巡る疑惑の解明が進まない中、事業者選定経緯に関する文書を保存する今治市が鍵を握る存在になっている。真相究明へ、市は学部誘致の当事者として自ら情報を公開しなければならない。

疑惑の焦点は、安倍晋三首相の意向が反映された「加計ありき」の事業者選定ではなかったかどうかだ。首相が出席し開かれた衆参両院の予算委員会閉会中審査では、今治市が直接関与する件として2015年4月、首相官邸に呼ばれた市職員が誰と会い、具体的に何を協議したかが追及された。

民進党は市が部分開示した文書をもとに「獣医学部系設置に関する協議」だったとし、非開示の面会相手に関して「関係者の証言によると、首相秘書官だった柳瀬唯夫経済産業審議官が面会し、希望に沿える方向で進んでいる趣旨の話をしている」と問題視。政府に事実関係を明らかにするよう迫った。

今治市は加計学園による新設を目指していた。証言の通りであれば、国家戦略特区諮問会議で学部新設方針が決まる16年11月の1年7カ月前に、今治市の特区申請が受け入れられる方向性が決まっていたことになる。「加計ありき」を判断する重要なポイントだ。しかし、柳瀬氏は「会った記憶はない」と繰り返し、首相も「確認できなかった」と明らかにしなかった。

面会相手を確認できる立場の今治市は、内閣府の問い合わせに「業務に支障が生じる恐れがあり、答えられない」と回答したという。「名前を明らかにすると、官邸に迷惑を掛けるのではないか」と配慮したのは想像に難くない。だが、官邸が答えられない理由は記録がないからで、記録があれば明らかにする姿勢と受け取れる。市は官邸に配慮する必要はない。逆に非開示のままでは、国会は混乱が続き、国政の支障は解消しないと認識しなければならない。

国会審議に絡んで、野党に参考人招致を求められた菅良二市長は「地方の声は加戸守行前知事が代弁しており、全て任せたい」と述べるが、ポイントがずれている。加戸氏が説明したのは在任中の誘致の取り組みや愛媛の公務員獣医師不足の実態であり、問題になっている特区申請や認定、事業者選定とは論点が違う。国との特区などに関する交渉は今治市が主体で、事情を最も知る菅氏は、むしろ自分から手を挙げて経緯を明らかにすべき立場にある。

獣医学部新設の疑惑は、政治の公平性が損なわれたのではないかという国政の根幹に関わる重要な問題だ。疑惑が晴れないままの開学は学生や市民、そして加計学園も望むものではないだろう。学部開設と運営には巨額の国費、県費、市費が投入される。今治市が情報公開することは、市民だけでなく国民への説明責任を果たすことに他ならない。菅氏はこのことを肝に銘じ、決断を下さねばならない。




https://www.ehime-np.co.jp/article/news201708019899