【除染-その陰に-】「不正は氷山の一角」 3兆2500億円の巨額事業

東京電力福島第1原発事故に関わる除染事業で、準大手ゼネコンの安藤ハザマ(東京)が作業員の宿泊費の領収書を改ざんするなどした問題は、東京地検特捜部が詐欺容疑で同社本社、東北支店などを家宅捜索する刑事事件に発展した。3兆2500億円もの巨費が投じられる除染事業。本県復興のために用意された国費に群がり、利益を不当に得ようとする姿が垣間見える。

「今回の疑惑は、氷山の一角にすぎない。(安藤ハザマの疑惑で問題となっている)宿泊費も含め、行政側のチェック体制が甘いと感じていた」。浜通りで除染事業に関わっていた建設会社の幹部は、この問題の根深さを指摘する。

県内の放射線量を低減する除染は前例がなく、事業費面でみても規模が大きい。参入する会社は、元請けから1次下請け、2次、3次、4次などと広がり、重層的な構造が不透明さに拍車を掛けているとの声もある。

除染事業を巡り、ある行政関係者が「不正の温床になっている」と指摘するのが、国が2012(平成24)年6月に出した作業員の宿泊費を巡る特例通達だ。

通常の公共事業であれば、事前に計上された予算内で事業を進めるが、除染は違った。事業を一刻も早く進めるためスピードが求められ、全国から人手を集める必要性から、受注業者がもともと予定していた予算を超えた宿泊費や送迎費を用意しなければならず、事業者の負担となった。

状況を打破するため、国土交通省は宿泊費や送迎費などを、実際にかかった費用に応じて事業終了後に実費精算できるようにする特例の通達を出した。費用が膨らんでも対応できるため、この特例が今回の事件の背景にあるとみられる。

福島市で5月に発覚した竹林除染の偽装問題では、単価が通常の山林より高い竹林を除染したように見せかけた資料を市に提出、請求額を水増ししたとされる。事業報告で福島市に提出された資料写真が偽りのものだったことが判明、大量の資料に目を通す必要があった福島市のチェック体制が十分機能していなかったことが浮き彫りとなった。

広い県土の再生を目指す除染事業は国発注のほか、市町村発注の事業に分かれる。浜通りの建設会社の幹部は語った。「前例のない事業で、監視は甘い。これから、ほかにも明らかになるのではないか」




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