障害者差別292件 解消法施行1年も浸透不十分

障害者差別解消法が二〇一六年四月に施行された後の一年間に、障害者や家族から寄せられた差別に関する訴えのうち、法務省が人権侵犯事件として救済手続きを行った件数が二百九十二件に上ることが分かった。同法は障害を理由とする不当な差別を禁止したが、法律が守られていない実態が浮き彫りになった。 

視覚障害者が盲導犬を連れて行くことを理由にホテルから宿泊を拒否されたケースでは、法務局の職員がホテルから事情を聴いた。ホテル側は宿泊を申し込んだ人から詳しい事情を聴かず、盲導犬の同伴を拒否していた。これは法律が禁止する不当な差別にあたるため、職員は同じ行為を繰り返さないようホテル経営者を説得した。

法務省が現在、対応中のケースは二十四件に上る。

人権を侵害された場合、被害者は法務省の出先機関である全国五十の法務局に電話などで相談できる。法務局は、深刻な人権侵害の疑いがある人権侵犯事件と判断すれば被害者だけでなく、加害者からも聞き取り調査などを行い、相手方を注意したり説得したりして、差別解消を進める。

同法は障害のある人もない人も共に暮らせる社会を目指し、障害を理由とした差別を禁止した。

日本盲導犬協会が法施行後一年を機に全国の盲導犬利用者にアンケートしたところ、この一年間で55%が受け入れ拒否を経験。レストランやバスだけでなく、同法に差別解消を進める役割が規定された市役所が会議室への入室を拒否した事例もあった。

政府に法律制定を働きかけた十三の障害者団体でつくる「日本障害フォーラム」は「法律の理解は進んでいるが、まだ不十分。差別が起きないよう、多くの人に理解してほしい」と話す。




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