アサリのゆりかご買って 浜名湖復活策編み出す

◆ 砂利入り網袋 組合がサポーター募集

浜名湖のアサリの復活に向け、浜名漁協弁天島遊船組合(浜松市)は、湖底に置いて稚貝の成育に役立つ砂利入りの網袋を一般市民に購入してもらう「アサリ一網サポーター制度」を五月下旬から始める。

浜名湖は、愛知県の三河湾などと並び、国内有数のアサリの漁場だが、近年は不漁の年が増えている。統計を取り始めた一九八二年には七千八百三十二トンあった漁獲量は徐々に減り、一時的に回復傾向が見られたものの、昨年は千九百一トンだった。海藻のアオサの大量繁殖や、水中の酸素が乏しくなる苦潮(にがしお)など複数の要因が絡んでいるとみられている。

例年、四~八月に行われる潮干狩りは観光の目玉になっているが、今年は十分な量のアサリを確保できず二年連続の中止となった。

砂利入りの網袋を使ったアサリの養育は、浜名漁協が四年前から取り組んでいる。五キロの砂利を入れた網袋を湖底に置いておくと、水中を漂う幼生(アサリの赤ちゃん)がつき、稚貝になる。稚貝は、網や砂利に守られるため、クロダイなどの魚に食べられたり、潮で流されたりせず、生存率が上がる。

自然状況によってアサリの個数や大きさは袋ごとで異なるが、おおよそ一袋に三十~二百個のアサリが採れるという。

サポーターは、材料費と管理費を合わせて一袋千円で募る。網を設置してから一年ほどたってから、袋の中で育てたアサリを放して潮干狩りを楽しんでもらう。アサリの成育環境を整えるとともに、浜名湖を訪れる機会にしてもらおうという狙いだ。静岡県の規則で採ることができない二センチ以下のアサリはそのまま湖に戻す。

漁協傘下の弁天島遊船組合の間瀬泰成組合長(59)は「浜名湖のアサリは危機的な状況。復活させるために、少しでも多くの人に協力してほしい」と参加を呼び掛けている。

全国の湖沼で貝類を調査している瀬戸内海区水産研究所(広島県)の浜口昌巳・干潟生産グループ長(55)は、砂利入り網袋を使ったアサリの養育について「漁業者が取り組む例はあるが、一般の人がサポーターになるのは初めて聞いた」と話す。

浜口グループ長によると、三センチのアサリは一回に百万個の卵を産むが、食用の大きさまで育つのはわずか。地道に個体を増やす策の必要性を指摘する。「資源再生の観点から、一回でも卵を産んでから潮干狩りをするのが良い。サポーター制度は、一般市民に環境保全やアサリの資源再生に関心を持ってもらうきっかけになる」と成果に期待する。

サポーターの申し込みの窓口となる舞阪町観光協会は、五月下旬にホームページで概要や手続き方法を掲載する予定。問い合わせは、同協会=電053(592)0757=へ。




http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20170423/CK2017042302000100.html