「日産流」の改革加速=国内の信頼回復遠く-燃費不正から1年・三菱自〔深層探訪〕

三菱自動車の燃費不正問題が発覚してから、20日で丸1年。問題をきっかけに存続の危機に陥った三菱自は昨年10月、日産自動車と資本、業務両面での提携に踏み切り、日産傘下で再建を目指している。しかし、過去の2度のリコール(回収・無償修理)隠しに続く3度目の不正で打撃を受けたブランドの信頼回復は遠く、国内新車販売は低迷を続けている。

◇ 組織見直し先行

三菱自は昨年4月20日、軽自動車4車種の燃費データの測定で不正があったとし、対象車種の生産・販売の停止を発表した。5月には日産傘下入りを決め、10月以降、「日産流」の改革を急ピッチで進めている。

「改革のスピードは速く、日産と一緒にやって良かった」。益子修社長は今月6日、主力工場の水島製作所がある岡山県で記者団にこう強調した。改革の陣頭指揮を執るのは、日産で技術畑を歩み、三菱自の開発部門トップとなった山下光彦副社長だ。

山下副社長がまず着手したのは、組織の見直し。燃費不正の舞台となった開発部門を直轄とした上で、試験データを自動で計測できるシステムを業界で初めて導入し、燃費をよく見せるための人為的なデータの改ざんを防ぐ体制を構築した。

また不正を招いた一因に固定化した人事や縦割りの組織体制があったとみて、毎年20%の管理職を異動させるルールも定めた。

◇ 提携、深掘りへ

しかし、消費者からの信頼回復の実感は乏しい。三菱自の2016年度の国内販売台数は、前年度比2割減の約7万9800台にとどまり、過去最低を記録した。

国内の視界不良が続く中、日産と三菱自が強化し始めたのが中国を含むアジア市場だ。三菱自の世界販売はこの地域で約3割を占め、欧米や日本市場をしのぐ。一方、日産にとってはてこ入れが必要な市場とされ、両社の提携が最も効果を発揮するのはこの市場だとみられてきた。

三菱自は今月3日、インドネシアに建設した新工場を稼働。日産は1日付でインドネシア現地法人の社長に三菱側の人材を招いたほか、10月にも同工場で生産開始する新型車のOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受ける見通しだ。

三菱自会長を兼務するカルロス・ゴーン日産会長は、三菱自を仏ルノー・日産連合に取り込み、グループの世界販売で首位を狙える1000万台超えを目指しており、今後も両社の関係を深めていく。

◇ 三菱自の燃費不正をめぐる動き

2016年 4月20日 軽自動車4車種の燃費不正を公表、対象車種の生産・販売を停止
    5月11日 軽以外でも不正と公表
      12日 日産自動車の傘下に入る資本・業務提携に基本合意
      18日 相川哲郎社長(当時)の引責辞任を発表
      25日 日産と正式契約
    6月17日 社内調査結果と再発防止策を国土交通省に報告
       24日 株主総会で相川社長(当時)が辞任。益子修会長が社長兼任
    7月 4日 軽の生産再開
    8月 2日 特別調査委員会が不正に関する報告書公表
      30日 問題発覚後も不正を続けていたことが判明。別の8車種の販売自粛
   10月 1日 8車種の販売再開
      20日 日産の出資が完了
    12月14日 臨時株主総会を開催。会長にカルロス・ゴーン氏が就任
 17年 1月27日 消費者庁が景品表示法違反で課徴金命令
    4月 3日 不正発覚後初となる新工場がインドネシアで稼働




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