物が二重に見える状態が続いていますが、治りますか?

70代男性。3年前に両目の白内障手術を受けました。左目は良く見えますが、右目は約3カ月前から、物が二重に見える状態が続いています。新聞や本が読みづらく困っていますが、眼科の検査では原因は見つかりませんでした。改善できますか。(福岡県・M)

■答える人 柴琢也(しばたくや)さん 東京慈恵会医科大准教授(眼科)=東京都港区

Question 白内障の原因は。

Answer 目のレンズの役割をしている水晶体が主に加齢とともに濁り、光が眼の中に十分に入らず、物が見えにくくなります。かすんだり、まぶしく感じたりする人もいます。

Question 治療法は。

Answer 濁った水晶体を透明戻す方法はありません。視力を回復させるには、濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを入れる手術が必要となります。最も起きてほしくない合併症に眼内炎があります。術後3日以内に起きることが多く、治療が遅れると失明することもあります。また、手術を受けた2割の人は、水晶体が入っていた袋の一部が濁る「後発白内障」を術後5年以内に経験すると言われています。外来で袋にレーザーで穴を開けて光が入るようにします。

Question 物が二重に見える症状との関連は考えられますか。

Answer 症状が片目だけの場合、後発白内障が原因の可能性もあります。水晶体が入っていた袋が徐々に収縮することで、術後に人工レンズの位置が少しずつ変わることもあります。ずれの程度が大きくなければ、眼鏡を調整することで症状を改善できる可能性があります。検査で原因がわからなかったとのことですが、術後しばらく経ってから眼鏡の度数が変わることはよくあるので、主治医にもう一度、相談されることをお勧めします。

Question 手術に関係していない可能性もありますか。

Answer 目のフィルムに当たる網膜が炎症を起こしてむくむと、物がぼやけて見えることがあります。ドライアイなどで角膜が傷ついたり、乱視が強まったりして、物が二重に見えることもあります。

柴琢也(しばたくや)さん 東京慈恵会医科大准教授(眼科)=東京都港区

柴さんによると、白内障の治療では今、「フェムトセカンドレーザー」という装置を使った新しい手術法が注目されているそうです。2008年に欧州で初めて導入されたこの方法は、世界では50カ国以上に広がり、日本国内でも数十カ所の病院が自費診療で実施しています。東京慈恵会医科大病院では、臨床研究としても実施しています。

現在の主流は、超音波を使った方法です。麻酔をした後、医師が水晶体を包む組織に穴を開け、超音波を使って濁った水晶体を砕いて吸引します。そこに折りたたんだ人工の眼内レンズを入れて固定します。このため、どんなに熟練した医師でも穴の大きさや形にある程度のばらつきが生じます。

一方、レーザーを使った新しい手術法は、事前にコンピューターが読み取った通りにレーザーが水晶体を包む組織に正確な穴を開けます。

柴さんは「挿入する眼内レンズにぴったりの円を正確に開けられます。後発白内障の発生頻度や、屈折の誤差を減らせる視機能に優しい手術です」と話しています。

中でも、超音波で水晶体を砕くことができないほど進行した白内障や、水晶体を支えているチン小帯が弱くなっている人、焦点が複数ある多焦点や乱視矯正の眼内レンズを希望する人の手術に向いているそうです。

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