高知県の山からイタドリを全国へ 業務用に高評価

高知県のイタドリを全国に売り出す動きが始まった。高知県民には山の幸でも、県外では雑草扱い。果たして売れるか。

「イタドリのご試食いかがですかーっ」

巨大施設を行き交う人波に向かって、高知市農林水産課の加嶋竜也さん(29)が声を張り上げる。

幕張メッセ(千葉県)で2月15~17日に開かれた「スーパーマーケット・トレードショー2017」。2千社以上が参加する流通業界最大級の展示商談会で、奥がかすむほど会場は広い。

約2400万円の費用をかけた高知県ブースの一角に、イタドリが初めて並んだ。その脇では、ホットプレートでごま油を熱し、塩抜きしたイタドリをベーコンと炒める。

良い香りにつられ、来場者がやってきた。

「イタドリって何の鳥?」

北海道出身という食品卸の営業マンが真顔で尋ねた。炒めたイタドリを口に入れ、「タケノコ? メンマに近い食感ですね」。

ブースの後ろには「里山の宝草」の特大ポスター。それでもイタドリを食べるという意味が分かりにくいらしい。

長年、高知県産品の外商に取り組む卸会社の社長もやってきた。

「知らん人が見たら草やきね。土佐の食文化は異文化。ウツボと一緒。『あんなんよう食うな』と。だから、とにかく1回食べさせないかん」

とまどう来場者を前に、高知県食品工業団地事業協同組合(高知市大津乙)のメンバーは「草ですけど、上品に言えば山野草。高知県民の多くが食べています」とアピールした。

口にしてもらえば高い評価も返ってくる。

岩手出身という小売業の男性は「初めて見たけど、シナチクみたい。おいしいし、おもしろい」。大手流通グループの社員で熊本出身の男性は「山菜というと茶色くて、しなっとしたイメージ。しゃきしゃきした歯ごたえで色もきれい。山菜より野菜のようだ」と評した。

静岡県御殿場市のフランス料理のシェフはこう言った。

「癖もないし、和洋中のどんな料理でも万能。静岡で食べる人はいないけど、山クラゲのような感じで食感がいい。売り出し方次第。万人受けすると思いますよ」

なぜイタドリを売り出すのか。

幕張メッセに持ち込まれたのは、どこにでも自生しているイタドリではない。高知市鏡地域の栽培品だ。肉厚で皮をはぎやすい。はいだ後もきれいな緑色だ。

栽培の歴史は、半世紀前までさかのぼる。

昭和40年代のコメの減反政策で、鏡地域の故山崎巌さんが田んぼにイタドリを植えたのが始まりだ。

巌さんの息子の昭広さん(72)が振り返る。

「狭い田んぼで稲作をやっても機械が数種類は要る。それに見合う収穫はないし、重労働。イタドリは力仕事が要らず、お年寄りでもできる。買い取り価格もよかった」

ただ、イタドリは皮はぎが面倒だった。巌さんは皮がむきやすい品種の研究を続け、県内外からの視察も相次いだ。選抜した株を近くの農家に分け、質の良いイタドリが地域に広がったという。

こうしてできたイタドリに、高知県産食材の商品開発に取り組む高知県食品団地の人たちが目を付けた。「生産履歴もしっかりしていて、全国で売れる」(吉野和守理事長)と。

2016年秋から動き始め、高知県や高知市も中山間振興につながると後押し。一気に幕張メッセでの売り込みにまで進んだ。




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