<東洋ゴム不正>長野市役所、免震装置交換後ひび数百カ所

東洋ゴム工業による免震ゴムの性能データ改ざん問題を受け免震装置を交換した長野市役所第1庁舎・市芸術館で、外壁に計数百カ所の細かなひびが発生していたことが市などへの取材で分かった。市によると、交換工事が影響したとみられ、安全性に問題はないが、専門家は「数が多すぎる。免震装置の大規模な交換は前例がほぼない。今後も交換は各地で続くため、詳しい検証が必要だ」と指摘する。

問題の建物は鉄筋コンクリート造り地上8階、地下2階建て。2015年11月の完成前にデータ改ざんが発覚したため、いったん設置した90基の免震装置を同年8月~16年3月にすべて交換した。その後、コンクリート打ちっ放しの外壁に幅0.1~0.3ミリ程度の「ヘアクラック」と呼ばれるひびが次々に見つかった。

市は「交換の影響が多分にあった」とみているが、詳しい原因は不明で「ひびの数も確認中」としている。補修中の芸術館の壁面では「181」と箇所数を示すシールが確認でき、関係者によれば総数は数百に及ぶという。

市によると、鉄筋など直接安全に関わる部分に破損はないが、影響拡大を防ぐため16年9月から薬剤を注入してひびを埋めるなど補修を続けている。工事は3月までかかる見込みだ。

免震装置の交換は東洋ゴム工業の費用負担で別の業者が請け負った。補修費用も東洋ゴム工業が負担するが、同社広報担当者は取材に「個別の案件には答えられない」としている。

国土交通省によると、データ改ざんなどのあった製品が使われた免震装置は154棟で使用され、順次交換が行われている。このうち公的施設26棟について毎日新聞が自治体などに取材したところ、長野市を除き交換作業が終わった6棟について、ひびなどの発生はなかった。国交省の担当者は「全体は把握していないが、一部の現場でヘアクラックができたとの情報はある」としている。

福岡大の高山峯夫教授(建築構造学)は「一般論では、ひびを発生させずに交換することは可能。長野の建物の構造を見ると技術的に難しかったと思うが、数百カ所は多すぎる印象だ」と語る。免震ゴムは耐用年数があることなどから、データ改ざんがあった建物以外でも今後交換するケースがある可能性があり、高山教授は「(適切な)交換や建物の設計に生かすためにも市による原因解明が重要だ」と指摘する。




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