ビタミンCでカゼは防げる? ウワサの真相を調べてみた

カゼの季節が本番を迎えています。仕事に勉強に忙しいなか、カゼにはかかりたくないものですよね。というわけで、俗に「カゼに効く」といわれている方法について、本当に効果があるのか調べてみようと思いたちました。

テーマとしたのは「ビタミンCをたくさんとると、カゼを予防できる(治りやすくなる)」というウワサです。

カゼには、かんきつ類やビタミンCのサプリメントが良いって聞きますよね。

ためしに検索エンジンで「カゼ ビタミンC」と検索してみると「ビタミンCの大量摂取が劇的に効いた!」「ビタミンCが風邪に効く本当の理由」など期待が持てそうなタイトルのページがたくさんヒットします。

本当だったらとても嬉しいことですが、その効果はちゃんと確かめられているのでしょうか?

カゼとビタミンCの関係を、ていねいに調べた研究を見つけました。「コクラン共同計画」という、国際プロジェクトに参加する研究者たちが出した論文です。

「カゼとビタミンC」の関係については、これまで世界中で数多くの研究が行われてきました。なかには「カゼに効く」可能性を示したものもあれば「効かない」と結論づけたものもあります。

全く同じテーマを調べているのに、結果が正反対ってどういうこと?と思いますが、医学研究の世界では、こんな事態が起きることは珍しいことではありません。

そこで今回ご紹介する論文を発表した研究者たちは、過去に世界中で出された「ビタミンCとカゼ」に関する論文を集め、なかでも質の高いものだけを厳選。結論としてどのようなことが書かれているかを調べ、総合的に評価しました。

こうすることで、それぞれの研究の結果が違っていても「全体として見ると、こういうことが言えそう」ということが見えてくるというわけです。

その結果、ビタミンCを通常の2倍以上とるような生活をすると、以下の結果が見込めるのではないか、ということが分かりました。

・基本、カゼは予防できない

・わずかではあるが早めに治るようになるかもしれない

・●●な人では、カゼがおよそ半分に減る

残念なことに、ビタミンCを多めにとってもカゼを防ぐ効果はなさそうです。でも、カゼになってしまったときに、早めに治る可能性があるということです。

とはいえその効果は、成人で「8%ほど早めに治る」くらい。つまり丸3日で治るカゼの場合、6時間くらい早めに治るかもしれない、ということなので、そのためだけにわざわざビタミンCをとろうと思うかどうかは人それぞれかもしれません。

ただ一方で、ビタミンCを多くとることで大幅にカゼを減らせる人がいることも分かりました。

それは、マラソン走者やスキーヤーなど「大きな肉体的ストレスを、短期間に受けた」人たちです。ビタミンCを多くとったグループでは、そうではないグループと比べカゼが半分程度に減ることがわかりました。

なお、ビタミンCを多めにとったときに、悪い影響はないのか?ということも気になりますが、過去の研究では、そのような報告はされていないようです。

というわけで、現段階の研究からは「冬場にマラソンなど激しい運動をするような人は、カゼを防ぐためにビタミンCが有効かもしれない」ということが言えそうです。せっかくだからビタミンCが豊富な食品やサプリメントを、意識してとるようにしても良いかもしれません。

※注)今回ご紹介した研究で調べたのは、1日200mg以上とった場合の効果です。日本人の成人の平均摂取量は1日104mg(平成27年 国民健康・栄養調査)とされているので、「通常の2倍以上」と表現しました。

市川衛(いちかわ・まもる)

医療ジャーナリスト

京都大学医学部非常勤講師。00年東京大学医学部卒業後、NHK入局。医療・福祉・健康分野をメインに世界各地で取材を行う。16年スタンフォード大学客員研究員。【主な作品】(テレビ)NHKスペシャル「腰痛 治療革命」「医療ビッグデータ」ためしてガッテン「認知症!介護の新技」など。(書籍)「脳がよみがえる・脳卒中リハビリ革命(主婦と生活社)」「誤解だらけの認知症(技術評論社)」など。医学ジャーナリスト協会会員。




http://bylines.news.yahoo.co.jp/mamoruichikawa/20170107-00066205/