辛口土佐酒が国内外で好評 司牡丹(高知県佐川町)など海外へ

辛口を基本にする高知の地酒が、国内外で好評を博している。東京で2016年夏に開かれた世界規模の日本酒品評会で高知県高岡郡佐川町の司牡丹酒造が出品した「槽掛(ふなが)け雫(しずく)酒 純米大吟醸原酒」が純米大吟醸酒部門で2位に入るなど、高知県内の複数の地酒が上位に入った。海外への輸出も伸びており、酒造関係者らは「土佐酒の伝統を守りながら、魅力を広めていきたい」と意気込む。高知の酒造りの今をリポートする。

2016年は高知県内の地酒の評価が高まる年になった。7月に東京で開かれた市販されている日本酒の品評会「第5回サケ コンペティション」で、高知県高岡郡佐川町の司牡丹酒造が純米大吟醸部門で2位に入るなど県内の酒蔵の9銘柄が入賞し、入賞数は前年の3倍になった。全国的に甘口が好まれる傾向がある中、「土佐酒」の特徴である辛口を守りながら海外へ販路を広げるなど、関係者は国内外で土佐酒PRを積極的に進めている。

■甘口主流の中で

「サケ コンペティション」は世界最大規模で、2016年は国内外から約1500点が出品された。「サケ コンペティション」では審査員が利き酒で点数評価しているが、甘口の後に辛口を口にすると「味が薄い」などと、マイナス評価される場合があった。

そんな影響からか、近年の入賞銘柄には甘口が並ぶケースが多く、辛口を造っていた全国の酒蔵でも、あえて甘口を出品する例が増えていたという。

この傾向に、高知県工業技術センターで土佐酒の酵母作りに携わり、「サケ コンペティション」審査員も務める上東(うえひがし)治彦技術次長は「全国各地の食文化や気候などで育まれた酒の地域性が失われる」と危機感を持った。

そこで上東さんは、過去に出品された酒の味を調べ、審査方法の見直しを事務局に提案した。味の基準になる糖分の一種、グルコース濃度2%以上を「甘口」、2%未満を「辛口」に分類して利き酒をする審査法で、2016年から採用された。

グルコース別審査は「純米」「純米大吟醸」「純米吟醸」の各部門で実施。純米大吟醸で2位となった司牡丹の酒のほか、純米酒で酔鯨酒造(高知市)の1点が9位でゴールド(10位以内)を受賞。シルバー(11位以下)にも5点が入り、そのうち3点が辛口だった。グルコース審査のない「吟醸」部門でもゴールドとシルバー各1点を受賞。計9点が入賞し、シルバー3点だった前年を大きく上回った。

甘口が多いとされる宮城(入賞23点)や福島(入賞19点)などに続き、入賞数は全国5位。司牡丹の竹村昭彦社長は「味を高めるために雑味を取り除くなど、丁寧な酒造りを続けてきた高知の辛口が評価された」と喜ぶ。

この結果は、他産地との差別化でブランド力を高めれば、辛口でもさらに販路が広がる可能性を示している。




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