野良猫、公費で不妊去勢 殺処分減少図る 全国初 神戸市議会、条例成立

増加する野良猫対策として、不妊・去勢手術を公費で負担して推進する条例案が5日、神戸市議会の本会議で全会一致により可決、成立した。市によると、他の自治体で野良猫への餌やりを規制する条例はあるが、繁殖制限に特化した条例は全国で初めて。来年4月に施行される見通し。可決されたのは「神戸市人と猫との共生に関する条例案」。野良猫の増加を抑え、殺処分数を減らすことが狙いで、市議会の3会派(自民、公明、民進こうべ)が提案した。

条例では、市獣医師会や地域団体などでつくる推進協議会を設置し、糞尿(ふんにょう)や鳴き声など住民からの苦情を踏まえ、野良猫が多い地域を選定。その地域の野良猫を捕獲して不妊・去勢手術をした後、再び地域に戻す。野良猫の捕獲は協議会を通じてNPOやボランティアに委託する。

手術費は、市が全額公費で負担する方針。平成29年度予算に計上するため必要額を精査している。市によると、市民からの野良猫に関する苦情は平成27年度に337件あり、市動物管理センターで引き取った768匹のうち673匹を殺処分した。殺処分率は87・6%で、全国20の政令市で最も高かったという。

糞尿の臭いや鳴き声などをめぐり、野良猫に関する苦情は各地で後を絶たない。環境省によると、全国の自治体で平成27年度に殺処分された猫は約6万7千匹。自治体はさまざまな対応に乗り出している。東京都荒川区は20年、野良猫やカラスなどに餌を与えることを罰金付きで禁止する全国初の条例を制定。25年には新潟市で、野良猫に餌をやる場合は不妊・去勢手術などを行う努力義務を課す条例が施行された。

関西でも、京都市が昨年7月、餌をやる際には周辺の住民の生活環境に悪影響を及ぼさないようにしなければならないと定めた条例を施行。和歌山県でも同様に餌やりのルールを定めた条例が来年4月から適用される。ただ、餌やりの規制については「野良猫が餓死する」といった批判が少なくない。神戸市の条例は、殺処分を減らすためNPOやボランティアが進めている「捕獲し(Trap)、不妊・去勢手術を施し(Neuter)、元いた場所に戻す(Return)」というTNR活動に着目。市によると、27年度に殺処分した673匹の約9割が子猫で、繁殖の制限で殺処分数を減らせるとしている。

同市は、地域の住民らが野良猫に不妊・去勢手術を施した上で、餌やりなどをする「地域猫活動」を推奨しているが、地元の同意が得られず、活動は進んでいないのが現状だ。TNR活動を行うNPO法人「神戸猫ネット」理事長の杉野千恵子さん(68)は「これまでは地元の依頼がなければ動けなかったので大歓迎」と条例成立を喜ぶ。

ただ、手術した野良猫は元の地域に戻されるため、実際に野良猫が減る効果が表れるのは数年後とみられる。環境省動物愛護管理室の担当者は「不妊・去勢手術をした猫が繁殖活動をしなくなると、ほかの猫が余計に子だくさんになるという報告もある」とした上で、「他地域から対象地域に入ってくる猫を監視することなどを徹底することも必要だ」と話している。




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